やっぱVTS1の棒銀が最強だからクソゲーっぽい

側面の堅いT-72でも試してみたけど、VTS1側が5割り増しだと既にヤバイ。
どう考えても、強すぎるのでバランス改善されるまでは適当にプレイするのがいいだろう。

下の動画は、適当に自分でためしてみたもの。相手は完全防御のフォートで、対戦車ミサイルをはじめ、FOBを背負っての戦いならほぼ最高の構成だと思う。
この動画では余った分をVABにしてしまっているが、ここを減らして補給車にするのが普通らしい。

 

動画は極端な攻めで使っているが、もちろん、普通の陸戦兵器として活用しても十分に強い。
コスパが最高によいので、MLRS以外では何をやってもそんな取り引きになってしまう形だ。

ブラチーノが発売直前に弱体化(射程半減、コストアップ)されたのが利いているのかも知れない。
他のMLRSでは射程的に使いづらすぎるし、VABで裏取りも平行して行うので単騎だとすぐに潰される。

Wargame:EE 散布界と命中精度の違いについて

ユニットのカタログスペックを見ると、武器毎に命中精度の項目がある。
そうすると、よっぽどの変人以外は「命中精度が高い武器は、目標に当てやすい」というイメージを持つはずだ。

ところが、実際は必ずしもそうじゃなかったりする。
命中7の武器が、命中3の武器より当たらないなんてことが起こりうるのである。



■散布界について
ユニットを選択して、地点射撃を選ぶと赤い輪が表示される。
これがそのユニット特有の散布界である。
このゲームの場合、この散布界の外に弾着がそれることは絶対にない。

この散布界はユニットのデータ上の命中精度が高いユニットの方が狭くなる傾向がある。
だから命中精度=散布界の大きさであると、誤解しがちである。
しかし実際は、ユニット毎に決められているので、ややイレギュラーなユニットも存在している。
「値段の割に装甲が貧弱」みたいなユニットは、実は散布界が狭かったりもする。



■命中精度について
ユニットのデータ上の命中精度は、散布界の中で中心に弾着する割合の量を示している。
例えば、命中精度3のユニットは、赤丸の外の方までほぼ均等に弾着するが、命中精度が高いユニットの場合、散布界の中心に弾着する割合が多くなるわけだ。

■散布界と命中精度の関係について
・散布界が狭く、命中精度が高い
AMX32などはこの傾向のユニットで、最大射程でも信じられないくらい当たる。

・散布界が狭く、命中精度が低い
散布界が狭ければ、命中精度が低くても有効打として機能しやすくなる。
この傾向があまり極端なユニットは存在しないが、T-62(の一番安い奴)あたりは、カタログ上の命中精度に対して散布界は比較的狭い。

・散布界が広く、命中精度が高い
T-55AM(2番目に安い奴)はこの傾向を持っている。
ただし、元々の散布界がかなり広いので、実運用上は、上記の「散布界が狭く、命中精度が低い」ユニットに劣る事になる。

・散布界が広く、命中精度が低い
T-55(の一番安い奴)がこの傾向が強い。
最大射程で目標に命中したら運がよいといった程度しか当たらない。



■ではT-55はクソユニットなのか
1対1での戦いを考えた場合は、明らかにクソユニットである。
なにせ弾が当たらないのだから、攻撃力や装甲の勝負にすらならない。

しかし、多対多の戦いの中では、安さにものを言わせたこれらのユニットが活躍する可能性がある。
安いユニットなので当然数を出すことが出来、散布界が広く、命中精度が悪いとは言え、一応、敵の方向に向かって撃つことは出来る。
これを生かせば、「目標とは違う敵に当たる」と言った事が起こりうるのだ。

言い換えれば、戦車砲として使う榴弾攻撃みたいな感じに機能すると言うことだ。



■ユニットの特色を生かした野戦軍編成
・散布界の広いユニットは数を出す
1門の榴弾砲の運用が心許なく、3本、4本と束で使いたくなるのと同様に、散布界の広い戦車砲の場合は、数を出しての運用に適している。
直接の命中弾を期待するのではなく、「敵の集団」に対して使うような運用だ。
つまり、どうせ狙うのであれば、「敵の集団の真ん中」を狙うようにした方がよい。

・散布界の狭いユニットはスナイパーにする
一方で散布界の狭いユニットは、直接、特定の個体に対しての命中弾を期待できる。
これを生かすには、「どうしても潰したい敵」や「被弾して火を噴いている敵」などを直接ターゲットにするとよいと言うことになろうか。

Wargame:EE 棒銀に散る!

マーダーVTS1にMBT-70を混ぜた棒銀にどうやっても勝てないので、それに対応できるビルドをずっと試していた。
VTS1棒銀は極めて有力な戦型なのだが、使っている人は3割程度なので、いざ、狙ってみるとなかなかあたらない。

しかも変なビルド&戦法になるので、VABやデルタを使った奇襲系や、迫撃砲を使ったじっくりタイプと言った、私の想定する所の「正攻法」な相手だとあっさり負ける。
まあ、それは(変なビルドなので)ある程度しょうがないとしても、肝心の棒銀の相手にも5割勝てるかどうかってのは、どういう事なんだって話だ。

 



本当にお手軽で簡単なのか、実は意外に穴があるのか、自分で使って試してみるターンが来たって感じである。

Wargame: European Escalation 勝ち方を意識して勝つ

コンピュータゲームはシステム面をPCが受け持つので、適当でもプレイはできてしまう。
しかしその状態では、勝利への道が見えていないので、基本的に勝てないのである。

勝率5割への道として、まずは、「勝ち方を意識する」という発想を持つのが重要だ。

    
    もう落ちるばかりだと思うのでBリーグで勝利記念にはっとく!



■マッチ開始前に勝ちパターンを意識する
ランクマッチでは複数のランクマッチ用のマップからひとつがランダムで選ばれる。
ゲームが始まってマップが開いたら、理想とする勝ちパターンをイメージしよう。

例えば、
・速攻で相手を沈める

・資源勝ちした上で守りきる

・相手のCOMMANDをハンティングしながら守る
などだ。

メタゲーム要素のあるゲームなので、流行は変わっていくだろうが、現在の主流は「資源勝ち」から「ハンティング」に遷っている最中という実感。
まずは、それぞれの勝ち方の解説をしていこう。



■速攻で相手を沈める
これは思い切りよく攻めて、火力密度を生かして突破する作戦。
例えば相手がある程度分散して守っている所に、極点突破で全兵力をぶつけたら、その地点での優勢は揺るぎない事になる。
銀河英雄伝説でも冒頭付近での戦闘で、各個撃破戦術が披露されるが、まああんな感じである。

注意点はふたつ。
ひとつ目は、全火力を同時に極点に向かって差し向けるように工夫する事。
ふたつ目は、安いユニットを前にだして弾よけにする事。
ユニット毎にスピードが異なるので、うまい具合に着弾させるにはそれなりのコツを要する。

・速攻で沈められないようにする
速攻は強力な戦法だが、それでケリが付くなら、「どう考えてもクソゲーです。本当にありがとうございました」になってしまう。
だから、それなりに決まりづらいように出来ているのが現実。

ひとつ目はアンブッシュの要素。
視線が通らない森や都市(の建物の影)を利用して待ち伏せ、敵の前衛を崩したら一旦退いて視界外に逃れるという戦い方だ。
これによって、攻める側は森の横を通る度にリスクを負うことになる。
慎重に行動すれば回避できるが、慎重に行動していたら奇襲効果はなくなるので、「それはもはや速攻ではない」と言うことになってしまう。

ふたつ目は補給の要素。
このゲームは補給の範囲内にいる限り、ダメージを受けても「ものすごい速度で修理される」。これは戦車などのユニットだけに留まらず、歩兵の補充すら行われる。
つまり、一発撃破しない限りは、補給が充実している側の方が圧倒的に有利な状況になっているのである。

このアンブッシュと補給を組み合わせれば、ほとんどの速攻は、すべて撃破できるか、或いは、ただの攻めに変化してしまっているはずだ。



■資源勝ちした上で守りきる
このゲームはセクターを占領することで、収入を得ることができる。
その収入はセクターの価値に因って異なるので、相手よりも多くの収入が得られる状況を作りあげれば「あとは時間が経つ毎に有利になっていく」という状況になる。

セクターで劣る側は「すぐに手を打たないと負けてしまう」と思うので、100%の確率で攻めてくる。
そこを前述したような迎撃戦術で迎え撃つという戦い方である。

この戦略を採用した時に陥りやすいミスは、「収入が多くなるのでユニットを沢山出せるようになるが、出したそれらを無駄に失ってしまう事」だ。
このゲームの勝利条件は、「相手のユニットを一定の価値分撃破する」なので、ユニットの質や数で勝っていても、単純にやられていては負けてしまう。

・資源勝ちされた状態で勝つ
資源勝ちされた状態というのは、相手側には守るべき場所が多くあるという状況である。
索敵により弱そうな側を探って、そちらに主力を向ければ、基本的に勝てる。
もちろん全く守備が居ないなんてことは滅多にないので、それなりの抵抗は受ける。しかし、分散されている以上、「絶対に攻める側のユニットの方が多い」と信じて、突っ込めば勝てる。



■相手のCOMMANDをハンティングしながら守る
この作戦は単純で、射程の長いユニットを使ったアウトレンジハンティングをネチネチと繰り返す戦法だ。
主にヘリと車両を使い、その最長の射程の武器でアウトレンジをかけるという戦い方になる。

基本的には自軍の偵察下においてヘリを使った攻めをするのだが、相手が長射程の対空ミサイルを配備している場合はうまく行かない。
そう言った時には、地上のATGM(の長射程のやつ)を使って、対空ユニットを排除していくといい。

やってしまいがちなミスは、ヘリの攻撃先を指定して、闇雲に近づいてしまうこと。
射程を確認したら、そのギリギリを移動先に指定して、勝手にミサイルを撃つのを待つ形がいい。
敵の対空ユニットの分散度合いに応じて、ミサイルとロケットを使い分けよう。

・ハンティングされながら勝つ
ハンティング戦略はヘリからのATGMによるアウトレンジが基本だ。
なのでアウトレンジされないように対空ミサイルを設置すれば勝てる。
なるべき開けた場所につかず離れずの距離で複数を配置するのがコツだ。

こうしておけば、地上からのATGMを躱しやすくなるし、多数のヘリによるロケット攻撃でまとめてパニックなんて事も起こしづらくなる。
ただし、索敵がしっかりと行われていないと、対空ミサイルのレンジを最大限に活用出来ない場合もあるので注意が必要だ。
ちなみに対空ミサイルは補給の食いが大きいので、補給トラックとセットで運用するのも忘れないでおきたい。

開けた土地がない場合は、森の中にCOMMANDを隠し、その周囲を少しの対空ユニットと歩兵で固めるようにするといい。
森に入った歩兵はごく接近するまで見つからなくなるので、真上に飛来したヘリを撃墜できる。
注意点としては、COMMANDのサイズがノーマル以上だと「比較的遠くからも見つかる」恰好になるので、森に隠すCOMMANDは初期のジープタイプのものにしておく方がいいだろう。



■どの戦略にも穴がある
勝ちパターンのイメージは自分にとってかなり都合のいいモノだ。
とは言え、最悪のケースを想定した場合、「絶対に勝てないゲーム」に見えてくる。

例えば、森に司令部を隠し、その周囲を歩兵と対空ユニットで守っていても、すごい数の榴弾を叩き込まれれば負ける。
この辺は相手のリソースが何に使われたのかを索敵情報から推測するしかないが、初期のぶつけ合いでミスリードを誘うのもひとつの手だ。

例えば、攻撃ヘリを飛ばして居るのを見せつければ、対空ユニットを拡充したくなるのが心理だ。
そこで榴弾砲の代わりに、対空砲を出してしまえば、榴弾を撃ち込まれる心配はなくなる・・・とかである。

この様にゲームの流れの中で、「どういう手を繰り出すのか」の判断を何度も積み重ねながら、相手に抜きんでるというのが、このゲームのおもしろさの要と言える。

Wargame: European Escalation 一対一の戦い方はひと味違う

ランクマッチは、セオリーも知らないような素人は少ないが、まだ十分に熟練したプレイヤーはさほど多くない。
これはメイクマッチ(選択マッチ)では多対多が主流であるのに対して、ランクマッチは一対一のガチで行われる為、「常識が異なる」という点にも因る。



■ランクマッチの仕組み
ランクマッチはラダーを構成しており、勝つとこのポイントが増え、負けると減る様になっている。
当然、自分より強い相手に勝つ方が加点は大きくなる(と思う)。

メイクマッチの際に、名前の下に数字が出ている人が居ると思うが、あれがラダー点だ。
1500が中心なので、この得点が1500を大きく超えている人は、相当強いと思って間違いない。

対戦自体は、陣営の選択をした後で「検索」をクリックするだけで相手を見つけてくれる。
ゲームのルールは、一対一で勝利条件は普通のメイクマッチと共通である。



■一対一独自のテイスト
メイクマッチの場合、2対2で3000点とか、4対4で4500点の様に、陣営毎の持ち点が大きい。
しかし、ランクマッチは、一対一で戦う為、両陣営1500点ずつと、多対多の試合よりも初期に投入されるユニット数が少なくなる。

どうなるかというと、「ユニットひとつの価値が高くなる」事を意味する。
もっと具体的に言うなら、「作って防御の為に置いてあるだけのユニットは居ないのと同じ」という事である。

この為、数が多い方が勝つという理屈がプリミティブに現れるので、「有利なポジションを利用して戦う防御」と、「脆弱な地点を選んで潰す攻撃」との判断をよりダイナミックに行う必要が出てくるわけだ。



■攻勢戦術
いつどこから攻めてくるか分からない相手に対して、防御を固めるのは、守る場所が複数ある場合、極めて不利になる。

相手は索敵なりを行った結果、「より弱い方」に対して「十分に勝てる」戦力をぶつけることができるからだ。
持ち点に余裕があるマッチであれば、攻撃側をはねのけるのに十分な待ち伏せを配置することもできるが、1500点ではそれは難しいのだ。

この為、「無理攻めをして過剰な失点を冒さないようにする」のが、多対多のセオリーであるのに対して、「思い切りよく攻めて、損害以上の被害を相手に与える」のがランクマッチの基本戦術になる。

どの程度、「思い切りよく攻めるのか」と「保持戦力をどの様に切り出すのか」について参考になるマッチがあったので、動画の形で仕上げてみた。

 
   アカウントがある人はニコで直接見た方がきれいに見えるはず

かなり気持ちよく攻めている様に見えるが、これはあくまでも一対一での場合だ。
なので、普段の多対多で真似して攻めると、厚い防御に阻まれて、いきなりユニットのほとんどを失う。
「とんでもない初心者のせいで負けた!」と仲間に言われ、切なくなるので注意して欲しい。

Wargame: European Escalation 他にない魅力を伝える

四捨五入で30時間ほどプレイしたので、他のRTSにない魅力を中心に、個性的なゲームシステムについて紹介したい。

ちなみに現時点では、マッチング、安定性、遊びやすさ、ゲームバランス、楽しさのすべての点で、最高クラスのRTSという評価をしている。

 
  ユニットの初期配置。複数プレイヤーのユニットがひしめき合う



■ユニット間の相性について
このゲームにも当然、ユニット間の相性ってものは存在している。
ただし、「このユニットにはこいつを当てておけばOK」と言う、一般的なRTSの常識は通用しづらい。

例として、地上攻撃ヘリコプターであるコブラと、自走対空砲であるツングースカの戦いを見てみよう。

 
  ツングースカ 対空機関砲と対空ミサイルを装備した一台二役の良ユニット

 
  コブラ 幾つかあるバリエーションの中での最良バージョンがこれ

一般的な常識で考えるなら、対空ユニットであるツングースカがヘリに勝てないわけないだろ!って話になる。
ユニットの能力値を見ると、ツングースカの対空ミサイルが距離3500でコブラをアウトレンジする。
そこから、コブラが自分の射程にツングースカを捉えるまでには、まっすぐに飛行した場合でも12秒かかり、この間にツングースカは2発のミサイルを発射できる。

つまりミサイル2発分、ツングースカが有利な構造になっている。
しかしそこからは、コブラの方がロックオン速度も命中精度も高いので、次々にツングースカを撃破できるようになる。
ヘリは確かに不利ではあるが、一般的なRTSの様に、絶対に相手にしてはいけないという形式にはなっていないのである。

そして重要なのは、対空ユニットはヘリをすべて撃破しても、直接その戦果を拡大する方法を持ち合わせていないのに対して、ヘリ側はひとたび対空ユニットを殲滅してしまえば、他の地上ユニットを狩り放題に狩れる点だ。

例えばコストの安いヘリを「弾避け」として前面に出して突入し、その後のコブラでおいしく頂くの様な戦術もとれる。
対空ユニットがなくなった前線部隊の末路は憐れだ。
機甲ユニットはミサイルで破壊され、歩兵はロケット弾に焼かれることになる。
全滅かそれに近い結果になるだろう。

これに対抗する手段は限られており、対空ユニットを多く出しておくくらいしかない。
ただし対空ユニットは、基本的に地上戦ではからっきしなので、敵がヘリで仕掛けてこない場合は完全に無駄になってしまう。
そして航空索敵の要素があるため、ヘリ側は仕掛けるかどうかを、相手を見てから選択できるのが大きい。
(もちろん、ヘリを大量に出しているので、それが活用できないなら不利だが、ゲリラ戦に切り替えることも出来る)

長くなったが、この様な細かな相関性が登場するほとんどすべてのユニット毎に存在している。
ともすれば、ジャンケン的な運ゲーになりかねないのだが、実際には理想通りにユニットを操ることはできず、最良の75〜90%くらいの精度になる。
そのぶれ幅が結果に対して重大なファクターになるので、ゲームとして非常によいバランスを作り出している。



■追加生産の難しいルール
このゲームは事前に渡されたコストの範囲で、あらかじめ自軍を用意しておき、開幕はそれを使ってゲームを進める。
与えられる戦費は、ゲームの設定にも因るが1000〜1500くらいの場合が多い。
ゲーム中に得られる収入は、新たにセクターを確保しない場合だと、13分で200程度などで相当に少ない。セクターをひとつ確保すれば、13分で合計600程度得られるが、セクターを確保するのにコスト200のユニットを使用するので、それを差し引けば400の収入にしかならない。

この様にこのゲームは、ゲーム途中でのユニットの追加が比較的困難になっている。
その一方で、「敵の陣容を見てから対応を考えれば有利」という概念もあるので、「だったらはじめの戦費をいくらか残しておき、初期索敵後に購入したらいいのではないか?」というアイデアも生まれてくる。

これは確かに有効な戦略で、「ヘリラッシュがないことを確認してから、(高級な)セクター取得用のユニットを出す」など、細かなテクニックに繋がる。
ただし、軍の配備が遅れるのは事実なので、敵側が積極攻勢を仕掛けてきた場合には、追加収入差をつけられて負けてしまうことにも繋がりかねない。

ここにも、単純ながらも奥深い駆け引きが展開される。

 
  30分程度の長丁場になれば、セクターを確保しての戦費獲得も要因として大きくなる。基本的に損害が収入を下回っていれば、ユニット数は減らないので不利にならない。



■索敵ユニットの脆弱さ
このゲームの索敵は索敵距離範囲ならすべて見えるという作りではなく、索敵範囲内であっても、索敵ユニットや敵ユニットの状況によって見え方がかなり変わってくる。

まず、丘がある場合、その向こう側は絶対に見えない。
これはまあ、常識の範疇なのでそれ程違和感はないと思われるが、「ごく近くなのに見えない」「むしろ離れている方が(角度的に)見える」と言った感覚になるので、普通のRTSと比較するとやや特殊に感じる。

さらにユニット毎にサイズが決められており、サイズがスモールのユニットが森の中(森のフチではなく、完全に中)に入っていると、ほとんど索敵できなくなる。
具体的にはヘリで真上を飛んでも見つからないかも知れないといった程度に隠れる。
これを利用すると、森の奥に歩兵をアンブッシュさせておき、敵ユニットの接近にあわせて森のふちへ移動させ、ミサイルをぶっ放して破壊するみたいな事が可能になる。

この様に、「索敵をしていても見つけられないユニットが存在しうる」のが、このゲームのおもしろさをさらに引き立たせている。
慎重を期すなら、事前にあやしい森に対して砲撃を行っておいたり、索敵能力を持つ歩兵である特殊部隊を差し向けるなどが有効だ。
(当然、なにも居なかった場合には完全に無駄になる。砲撃にも弾を使い、弾は(補給ユニットを購入するという意味で)戦費で補うので、実際にコストがかかるのである。

 
  左上のOH-58C/S(対空ミサイルを装備したヘリ)が、下部のMi-9(偵察ヘリ)を「近づいたら撃つ」距離で狙っている。しかし、森に潜ませたツングースカがそのOH-58C/Sを既にロックオン体制に入っている。画面上部に居る敵側の索敵ヘリからは、Mi-9のみが見えツングースカは見えていないのである。



■操作量と判断力
このゲームは普通に遊ぶだけなら、RTSとしては比較的ゆったりとしたゲームだ。
ただし、「やろうと思えばやれること」や「索敵に対して、一瞬何かが見えた(ユニット不明の形で一瞬だけ索敵に掛かる)」などがある。

この為、ひとりでふたりを相手にすると、全く同じ技量であってもまず勝てない。
もっと云うなら、自分より少し下手くらいの仲間であっても、自分ひとりですべて担当するより明らかに強いというバランスになる。

これが多人数マルチを積極的に肯定する理由付けとして、非常にうまく機能している。
私はどちらかというと、チーム戦主体のRTSはあまり好きではないのだが、このゲームのマルチプレイはユニットの移動が比較的遅いという点からも、「担当方面を割り当てる」的な形になり気に入っている。

Wargame: European Escalation マルチプレイベータ雑感

マニアなミリタリーストラテジーを求める声に応えて、
RUSEの開発で有名になったEugen Systemsの新作が「Wargame EE」だ。

何度か発売が延期されて居るゲームだが、今は2/24のリリースに向けて、予約購入者を対象にマルチプレイベータが催されている。
早速プレイしてみて、「素晴らしいゲーム」だと確信したので紹介しておく。

 
  



■ゲームのテイスト
このゲームは1960〜1990年くらいのいわゆる東西冷戦時代を扱った、軍事リアルタイムストラテジーだ。
RUSEと開発元が共通とは言え、ゲームの仕組みはかなり異なっており、どちらかというと会戦級ストラテジーの傾向が強くなっている。

・ユニットはあらかじめ戦場に配置する
・時間でリソースが増え、増援ユニットをさらに呼ぶこともできる
・敵を殲滅するか、有利な状況で一定の損害を与えたら勝利



■レベルとデッキコンストラクション
このゲームは東側と西側の陣営に分かれており、対戦も東側と西側に分かれて行う(設定をいじれば、西側同士、東側同士でも対戦できる)。
その際に、どのユニットを繰り出すことができるかを決めるのが、プレイヤーそれぞれのデッキである。

プレイヤーにはレベルがあり、レベルが上がる毎にスター(★)を獲得できる。
同様に、ユニットそれぞれにもスターが設定されており、獲得したスターを消費することで、そのユニットをアンロックできる。
そして、アンロックしたユニットをデッキに加えることで、そのユニットを実際にゲーム中で使えるようになるという仕組みだ。

デッキに含まれているユニット以外は、どうやっても出せないし、デッキで許されているユニット数を使い潰してしまったら、それ以上のユニットも出せない。
つまり、デッキが生産タイプ兼生産上限を意味するような形だ。

ただし現状では、デッキに加えるユニットの数の制限が緩く(派生系を除いてカテゴリー毎に5タイプ)、とにかくアンロックしたものを手当たり次第に使っても何ら問題ないレベルになっている。



■マッチングと対戦システム
マッチングは近い実力の相手からランダムに相手を選ぶランクマッチと、誰かがホストとして干したゲームに参加するフレンドリーマッチに分かれている。

ランクマッチはやっている人が居ないのでよく分からないが、公式サイトを見る限り、かなり細かくラダーが組まれており、開発側が「競技性を重んじている」というスタンスは見て取れる。
フレンドリーマッチは、1:1〜4:4の設定で対戦出来る。1:1はあまり一般的ではなく、2:2か4:4がよく干されている。
対戦ゲームとして将棋が一般的な日本人の感覚だと「1:1のが仲間に迷惑かけないし気楽だろう」と思うのだが、世界的な発想だと「仲間が居る方が気楽だろ!」って話になるようだ。

西側と東側の陣営選択は自由に行える反面、どちらかの陣営を選んでゲームに参加することはできない。なので、ゲームに参加してから「自分の希望する陣営が開いていない場合は、あとから入った人が抜ける」という習慣ができあがっている。
デッキを組むのにポイントが必要なので、どちらかの陣営に偏ったデッキを持つ人もそれなりにいるはずで、もうひと工夫欲しい部分ではある。

ゲームの勝利条件は、なぜか説明書に詳しく書かれていないが、私の実感だと、
・敵の前進司令部をすべて破壊する(新たなユニット生産を不可能にする)
・敵ユニットを破壊して既定の点数を獲得する
のいずれかを満たした場合に勝利になるようだ。
勝利自体には「マイナービクトリー(辛勝)」〜「トータルビクトリー(完勝)」まで幾つかの段階があるが、点差で分かれるっぽい。

ユニットを破壊した時の点数は、敵ユニットの生産コストに比例するので、高級なユニットを使い潰すような戦い方をしていると、「気がついたら負けていた」という展開になりかねない。
なお、ゲーム中にセクター占領するという概念があるのだが、これは勝利条件とは関係ないようだ(関係あるとしているレビューもあるが)。

そして、勝利、敗北それぞれで、ゲーム内での活躍の度合いに応じて経験値が貰え、これが一定量貯まるとレベルアップして、★が貰えると言う寸法。
この為、レベルは相対的な強さ(経験、戦績、デッキの強さ)を示す基準として、まずまず有効に機能しているように見える。

まとめるなら、「隙があるなら敵司令部の破壊を狙いつつ、そうも行かないのであれば、相対的に有利な戦い方をして勝利を得る」というゲームになる。



■ゲームの流れ
実際にゲームを開始してから、対戦が終わるまでに知っておいた方がよい点をまとめておく。

・ユニット初期配置
ゲームがスタートすると、自分のテリトリー内に、ひとつの前進司令部(見た目は車両)と、ひとつの補給拠点が配置されている。
まずは、これらを適切な位置に配置しなおしてやろう。

補給拠点は周囲のユニットに燃料と弾薬を補給するのが役割で、前進司令部は設置されたテリトリーでユニット生産を可能にする役割を持つ。
なので、補給拠点はテリトリーの前の方の、交通の便の良さそうな場所に、前進司令部は後方の森の中にでも置くといいと思う。

次に、左上の数字に着目して欲しい。1500とか3000とか書かれているこれが、手持ちの生産ポイントだ。
WEEは初期配置のあるゲームなので、先ずはこの手持ち点の範囲で、ユニットを幾つかは位置していこう。

・ユニットの役割
ユニットはカテゴリーとして「兵站」「戦車」「偵察」「歩兵」「支援」「車両」「ヘリ」に分かれている。

ユニットは歩兵20=車両4=ヘリ2までが1スタックで、ゲーム中は主にこのスタック単位でユニットを操作する形だ。
極端に拘るのであれば、1ユニット=1スタックまで分割してバラバラに行動させることもできるが、操作量とゲーム性を考えれば、兵站と偵察部隊以外はまとめて動かす方が理に適っている。

兵站ユニット》
前進司令部と補給ユニットで構成されている。
前進司令部は、テリトリーを占領して収入を得るのに使用する。
補給ユニットは、戦闘ユニットの燃料や弾薬を補給するのに使用する。

《戦車ユニット》
このゲームの戦闘力の中核を担うユニット群。
移動力、装甲、攻撃力のバランスに優れたユニットが多いが、強さとコストは様々なので、質、コスパ、数のバランスをどうとるかで判断を要する。

《偵察ユニット》
このゲームには視界の概念がある。
しかし、一般的な戦闘ユニットは視界が狭い為、これを確保するために用いられるのが、偵察ユニットである。
戦闘力に対して、比較的割高なユニット群ではあるが、「敵の位置が分からないのに、こちらは見られている」状況は極めてまずいのでおざなりにはできない。

《歩兵ユニット》
歩兵ユニットは、素の歩兵そのものではなく、何かしらの乗り物に乗った状態で登場するので、実際には「歩兵+車両」と言った形式になる。
基本的に車両より弱いが、少し安いので、防御的に待ち伏せしての相打ち狙いが基本戦術になる。

《支援ユニット》
大まかに、遠距離砲撃を行える曲射砲と、自走対空車両に分かれる。
曲射砲の役割は、直接ユニットの破壊と共に、爆発によるスタン効果を与えられるのが大きい。やや劣る位の兵力差で戦車戦になっても、支援砲撃が適切なら動きを止めているうちに狩ることが出来る。

《車両ユニット》
歩兵ユニットで歩兵が乗っている乗り物の、歩兵が付いてこない版である。
ものによってはコスパ的に有利なものがあるかもしれないが、単体で使うことはあまりない。

《ヘリ》
対地戦闘を主とする航空ユニット。
ヘリであっても、補給ヘリは兵站、偵察ヘリは偵察に分類されている。
地上ユニットに対してのアウトレンジが有利だが、機銃での撃ち合いはさほどでもないので撃ち尽くしたら、素直に補給するのが賢い。

・戦闘開始〜中盤
索敵ユニットを先頭に、戦車ユニットを横に広げて進行させる。

新たなテリトリーの確保は、生産ポイントの上積みになるので是非取りたいが、前進司令部のコストである200点は、迂闊に破壊されると負けの理由になるほど重いので注意。
この為、敵にテリトリーを取らせ、防御が定まらないうちに司令部の破壊を狙うのが基本戦略となる。
これを逆手に取ったプレイも当然できるので、メタゲーム要素が豊富である。

・中盤〜終盤
初期配置したユニットは動かしているうちに燃料や弾薬が切れる。
マップの端から端まではいけないレベルで切れるので、かなり切れやすいイメージになるだろう。
あらかじめ、どう補給するのかを考えておくと、スムーズに行動を持続できる。

ここでもこれを逆手にとって、敵打撃部隊と、後方策源の間にこちらの奇襲部隊を割り込ませるなども有効。
燃料が完全に切れた戦車は動けないので、対戦車ミサイルで容易にアウトレンジできる。

・結末
ゲーム中の得点は画面右に表示されているが、ゲームになれるまでは、「気付いたらゲーム終了だった」というパターンが多いが、それでも仕方ない。
ギリギリ決着が付くか付かないかの瀬戸際の場合、リスクを減らす意味で、安い歩兵を使った攻め(脆弱部への奇襲)に切り替えるなどもあり。



■ゲームとしてのおもしろさ
RTSでは「ユニットを遊ばせないように」、「相性のよいユニットをぶつける」のが必勝パターンだ。
99%のRTSはこの原則さえ守っていれば勝てる。

Wargame EEでもこの原則は通用するが、そこに補給とユニットの移動速度の問題が出てくる。
このゲームのユニットは足が遅く、かなりの頻度でガス欠を起こす。
弾薬も無限ではなく、二回ほど交戦すれば、弾切れになってしまう。
それ故に補給を交えた戦い方が重要になっている。

例えば、「敵を探して前に出る」という単純な行為自体が、「自分だけ多く燃料を消費し」「自分の補給線は伸び」「敵の補給線は短縮される」というデメリットを持ち合わせる。
一方でより多くのテリトリーを持つことは、より多くのユニットを出せる事に繫がる。
同質のユニットが互角にぶつかれば、数が多い方が勝つのは自明なので、前に出ない消極策も安直にはとれない。

この為、「敵を意のままに誘い出して仕留める」のを「お互いが狙う」という、「裏の裏の裏はやっぱり裏か!」というゲーム性を持っているのだ。

優秀な定石をなぞってさえいれば、誰でも平均までは行けるゲームではなく、本当のゲームを楽しみたいと思うなら、Wargame EEはうってつけのゲームだと言える。

※RUSEや大戦略Ⅳが好きだった人なら、絶対に買うべきタイトル。