ゲームを楽しみたいと思ったら難易度はハードにしよう

アクション要素のあるゲームには難易度設定が可能なものがある。
10年ほど前までは、難易度Normalがゲームとして見た場合に、ほどよいやりがいを感じる難易度に調整されていたが、最近ではNormalの接待プレイ化が著しい。

結果、ほとんど詰まることなくゲームをクリアしてしまい。
「60ドルで6時間しか遊べなかった。物足りない」なんていうズレた感想を引き出すハメになってしまう訳だ。

 



■ゲームの難易度とその実態
ゲームの難易度の調整は、様々な手段によって行うことが出来る。
とは言え、一般的なものは「敵の強さや数」「アイテムの配置や数」で行うものだ。これらの手法のよい点は、バランスの調整が容易になる点だ。

例えば単純に敵のライフを1.5倍、ダメージを1.2倍にするだけでも、戦闘時に死亡する可能性はずっと大きくなる。
また、回復アイテムを多めに配置すれば、少々のダメージもそれでリカバリーすることができ、全体的な難易度を下げることも出来る。

つまり、「ゲームを難しくする」=「死にやすくする」という捉え方が一般的になっている。
(逆にそれ以外の手法で難しさを演出するのは難しい)



■基準をどこに置くのか
数量的にバランスを取る場合の設計手法には2パターンある。

ひとつは「基本となる難易度で完成させ、それに倍率を掛ける形で難易度調整をする」という手法。
EASYにしたければ、敵の攻撃力を0.7倍にするとか、VeryHardにするなら敵の攻撃力を2倍にするとか、そういう考え方のものだ。

もうひとつは「それぞれの難易度毎にわざわざ作る」という手法。
一律の倍率によらずに、それぞれのパラメータを難易度毎に手動で調整する考え方。倍率で調整するよりはっきりと手間は掛かるが、より繊細なものを作れる。

注意したいのはどちらの場合も「基準となる難易度」が存在するという点だ。
前者は明確に「これが基準」というものが存在しているし、後者の場合であっても、調整段階で「Normalに対してこの程度強くする」といった考え方で調整しなくてはならない為だ。

つまり「Normal難易度」とは、数ある難易度設定のひとつという扱いを越えて、そのゲームを代表する難易度設定であるとも考えられる。



■進むゲームのヌルゲー化
ゲームの難易度は、ゲームが大衆娯楽の度合いを増す毎に簡単になってきている。
これは「何度も失敗しながら試行錯誤を繰り返し、工夫を凝らすことでついには難所をクリアーする」という遊び方が、「とりあえず弾を撃ちまくってどんどん前に進めばどうにかなる」という遊び方よりも大変だからだ。

突き詰めると、ゲームの楽しさに何を求めるのかという哲学領域まで行き着いてしまうが、「ヒャッハー!」を求める客がいる限り、それに応えるのがサービス業としてのゲームのあるべき姿でもある。

しかしながら、一般にゲーマーを自覚している人々は「そんなアホなゲームじゃおもしろくないだろ」って信条を堅く心に刻んでいる。
そうした人々の言い分は「ほとんどの人がクリア出来ないような壊れた難易度は別として、ちゃんとクリアする手段があるのであれば、難易度はある程度高い方が達成感も高まっておもしろい」というものだ。



■高難易度プレイの奨めと問題点
ゲームをスタートする際に難易度設定出来るゲームがあるが、これは論理的に考えて馬鹿なシステムである。

だってそうだろう。「ゲームを今から始めますよ」っていう初見の人に「どんな難易度でプレイしますか?」なんて聞いた所で、そのゲームにおける「普通」が分からないのだから判断しようがない。

その結果、はじめてだし「とりあえずNormalで」なんて事になりがちだ。
ステーキ屋で焼き具合を聞かれ、家族みんなで「ミディアムで〜」って応える間抜けさに似ている。

ゲーム全体の不文律としての「難易度Normal」は確実に簡単になってきている。これは事実なのだが、90年代末〜2000年代初めの「難易度Hard」には壊れたマニア向けのものもあったので、古いゲーマーほど警戒感が強い。
言い換えれば、ゲームをやたら難しくしすぎておもしろい範疇をぶち抜けたゲームもあったので、「そんなの選んで大丈夫か」っていう心理ブレーキが意図せずに働くと言うことだ。

しかし敢えて言う。
「最近のゲームは難易度Hardが一番おもしろい」様にできている。
ゲームによっては難易度Hardを基準として作り、その下にNormalやEasyを数的調整でこしらえている様な作りのものもある。
これはゲームとしておもしろくなるようにゲームを作ったが、販売に際してそれでは難しすぎるので、「その難易度をHardにしよう」と言った判断がなされた場合にはより顕著になる。



SKYRIMの場合
私も今プレイしている、TES5 Skyrimも難易度Hardが丁度いい塩梅で、その下にNormal、その上にVeryHardが配置されている。

Normal難易度では雑魚敵はゴミのように弱く、中堅クラスの敵相手でもよっぽど抜からなければ負けることはないという簡単さになっている。
回復ポーションはあまるし、やや珍しい部類のポーションやスクロールは特に必要がないので慢性的に余ってしまう。

これを難易度Hardにあげると、中堅クラスの敵はより手強くなり、敵を誘い出して一度に相手をする数を減らしたり、時にはポーションで能力を増強させて倒す等のようなプレイの有効性が増す。

さらに難易度をVeryHardにあげると、ドーピングなしでは切り抜けられない場面が増え、仲間や消耗アイテム、スキルの取り方などを真剣に考えてのプレイが要求される。
回復魔法を持っていても、「それだと間に合わない」ので回復ポーションも併用するようなプレイングになる。

RPGの場合は、過酷な環境がまずあり、キャラクターを強化することでそれに適応するという楽しさも欠かせない。
ある程度適当に育てた場合でも、強さがインフレしてしまう難易度Normalよりも、高難易度プレイの方がゲームとしてのフレーバーはより高まるのである。
また複数用意されているポーションやスクロールも、難易度が高くなければ「なくてもどうにでもなる」ので存在感が引き立たない。TES5でも難易度Normalのプレイでは、「ポーションを店で買う」というプレイをしたことがない人がほとんどなのではないだろうか?

ちなみに、難易度VeryHardのドラゴンブレスは、素の状態でひと吹き喰らうと死ぬ。
横にスライドして避けても、首を巡らすので喰らい続けて死ぬってバランスで、実に丁度いい。

ブレス耐性を付ける、地形を利用してかわす、回復魔法を唱えながらしのぐ、ポーションがぶ飲みなど、様々な対応策があるので、キャラ育成の方法も多岐にわたっておもしろい。
オススメである。