【Driver SanFrancisco】 部分的に西部警察

前作のパラレルラインが並のデキだったので、世界的にあまり注目されて居なかったようだが、遊んだ者からは「さりげにおもしろい」と言われているゲームである。


■ゲーム内容
ゲーム内容はサンフランシスコの街ひとつ(序盤は中心街のみ)を再現したカーアクションゲームで、全般的にアーケードスタイルで統一されている。
クルマの挙動とか、再現性などお構いなしのスタイルで、操作感はクレイジータクシーに近い。

ゲームのテイストは、非常にぶっとんでいる。言い換えるなら、いい意味での馬鹿だ。
まず設定が、事故をきっかけに周囲のいかなるクルマ(の運転手)にも乗り移る能力を獲得した主人公が、サンフランシスコの街を舞台に大暴れするというもの。

この能力は(一部の制限のあるシナリオを除いて)いつでもどこでも使える。だから、犯人の車を追い詰める際に、「捨て身でぶつけて走行不能になっても、すぐさま隣のパトカーに乗り移って追跡を続ける」などが可能だ。
GTA4など、多くのゲームではクルマを奪って使うのだが、このゲームではそのシーケンスを「超能力だから!」という理由で大幅に簡略化し、テンポアップすることに成功している。
ちなみに、主人公は設定上、捜査官らしいのだが、そう言った雰囲気は微塵も出さない。むしろ、パトカーに追われる事の方がよっぽど多いくらいだ。

プレイは街中に散らばる様々なミッションを選択し、それをプレイしつつ、たまにストーリーを進めるというもの。
正直言って、ストーリー部分はおまけだし、テイストそのものが馬鹿なので、当然、リアリティには欠けてくる。まじめなゲームではなく、派手で爽快なゲームだと思った方がよい。

■システム周り
描画は非常に軽いレベルで、垂直同期を切った場合の最低fpsが90程度。多くのシーンで120fpsに振り切れるので、Vsyncをつけての60fpsなら多くのPCで実現できるはず。
特筆すべきは、ゲーム内に収録されているBGM。軽妙かつノリのいい曲が多く収録されており、(TDU2の様に)運転中に曲を切り替えることもできる。
エンジン音や効果音は特別リアルではないが、問題ないレベル。

360パッドとステアリングコントローラーに対応しており、キーバインドも可能なので、操作周りに問題はない。
ミッション中に失敗してリトライしたい場合も、ポーズメニューからリトライを選べばすぐにやり直せる。
ローディングは速くも遅くもない水準。頻繁に読み込みが起こるわけではないし、箇所もレース開始時など常識的な箇所なので特にストレスを感じることはない。カメラビューは、車外、運転席、ボンネット、バンパーとひととおり揃っている。
運転席視点は他のゲームでは視界が極端に狭かったりもするのだが、このゲームは比較的広く見渡せるのでマシな部類。

なお、最近のUBIのゲームの多分にもれず、Uplayによるアンロック要素もある。
もしプレイする場合は、是非アカウントを作って、おまけ要素を獲得する方がいいだろう。

■インプレッションなど
この手のゲームは幾つかあると思うのだが、人間としてのTPSやFPSでのシーケンスを完全になくし(会話シーンはある)、その代わり、カーアクションの部分に全力を注ぐという判断は間違っていない。

好きなクルマに乗り移るというアイデアも、はじめは「なんかそれ、リアリティのかけらもないよなあ」と思ったが、実際にプレイしてみれば、ユーザーインタフェースの優秀さとも相まって、「これはこれでアリだな!」と思える水準まで完成されている。

一方で、難易度も含めて軽妙にできているので、重厚感であるとか、大作感は失われてしまっている。
この為、評価面では少し損をしてしまっているが、ゲームとしては非常におもしろい。

最悪、ロシア語限定になっても構わないチャレンジャーなら、Yuplayで16ドル程度で購入できる。この値段なら大満足である。