the Elder Scroll 5 Skyrim: SuperSamplingの威力

ファン以外なら12月を待ってもいいかもと書いたTES5だが、
プレイを進めてみると、ダンジョンの完成度やクエストの自然な誘導など、極めて精緻に設計された傑作RPGなのが分かってきた。
英語でのRPGが苦にならないなら、今から体験する価値もありそうだ。

さて、今回はこのTES5を使って、ドライバとゲーム側のレンダリング設定について見ていきたい。

 
  今回のテストで使用した場所。このゲーム中では比較的重いシーンにあたる



レンダリング設定とは何か?
ゲーム側で設定する描画オプションには、「どの様なエフェクトを使用するのか」であったり、「影生成に用いるテクスチャの解像度」であったり、「どこまでの距離で草を描画するか」などの設定がある。
TES5の場合は、ランチャーで設定できるDetailの「LOW 〜 ULTRA」とそれに付随する詳細設定がこれだ。

これらの要素は「どんな絵を描くか」という設定に用いられる為、当然、見た目の品質やパフォーマンスに与える影響は大きい。
しかしそれとは別に、レンダリング設定という「どうやって絵を描くか」という設定も存在する。
これはドライバの詳細設定と、先ほどのTESランチャー上の、AntialiasingやAisotropic Filteringの項目で行う。

・どんな絵を描くのか
 何を描くのかを決める。
 例えば、遠景の草を描画しなかったり、影を適当に描くことで高速化を狙える。

・どうやって絵を描くのか
 どう描くのかを決める。
 キャンバスのサイズに相当する解像度と、1ピクセルあたりの情報量を決めるフィルタリング(≒アンチエイリアスのかけ方)で設定する。



レンダリング設定ごとの比較 〜実験結果
グラフィックなので、実際に見るのが1000倍速い。
効果を感じ取りやすいシーンで設定を変えて撮影し、縦横各2倍(つまり4倍)に拡大した上で、アニメーションGIFにしたものがこれだ。

 

すべて、元画像は1920x1080解像度で、描画設定は ULTRA にしてある。
「最高設定」→「最適設定」→「高速設定」で2秒ごとに切り替わる。

・最高設定 →このシーンで17fps
 考え得る限りで最も画質がよくなる設定。
 ドライバ側で「SuperSampling」と「EQAA」、「EdgeDetectフィルタリング」を選択。
 その他の最適化オプションはすべてOFF(画質より)にしてある。
 ゲーム側の設定は「x8 アンチエイリアス」「x16 異方向性フィルタリング」を選択。

・最適設定 →このシーンで30fps
 パフォーマンスをなるべく犠牲にせずに、可能な限り綺麗に描画する設定。
 ドライバ側で「MultiSampling」、暗黙的に「MSAA」、「Boxフィルタリング」を選択。
 その他の最適化オプションはすべてOFF(画質より)。
 ゲーム側の設定は「x4 アンチエイリアス」「x16 異方向性フィルタリング」を選択。

・高速設定(標準設定) →このシーンで34fps
 ドライバ側で、明示的に画質を犠牲にしない範囲で、最速となる設定。
 ドライバ側の設定は、最適な設定と同様。
 ゲーム側の設定は「アンチエイリアスなし」「異方向性フィルタリングなし」を選択。



■SuperSamplingの威力と非現実性
高設定の画像ははっきり言ってすごい。
他の2設定では描かれていない枝の先まで極めて精緻に描かれている。
まったく同じ解像度でレンダリングしているのに、まるでこの設定だけ、解像度が高いかのような印象を受けることだろう。


実際の所、SuperSamplingは本当に解像度が高い。

アンチエイリアスは、ポリゴン生成上の解像度を実際の描画よりも高い解像度で行い、その情報を元に実描画を行う方式である。
ただし、この解像度の拡大は、「そこに物体があるか」の判断のみに使われる。
どういう事かというと、これには色情報が含まれていないのだ。
考え方としては、解像度の高い明暗情報だけ用意し、そこに元の色情報を重ねて色を塗るようなイメージだ。(本当は違うが、捉え方としてね)

その解像度の拡大を色情報にまで広げたのがSuperSamplingによるアンチエイリアスとなる。
描画に必要なすべての情報が拡大されるので、より大きな面積に描画してから、最終的には画面の解像度に合わせてフォトショップで縮小して表示するようなイメージになる。

それ故に、SuperSamplingの描画は、他のレンダリング設定ではのっぺりとしてしまっている部分であっても極めて精緻に描画されている。


しかし、SuperSamplingでのフレームレートは、このシーンで17fpsとゲームを楽しめる水準には達していない。
2コアGPUでのSLIなど、モンスターマシンでの以外での利用は流石に厳しい。
そこで、実際にゲームをプレイする設定を想定した最適設定や標準設定が重要となる。



■秒間4フレームの価値
最適設定と高速設定は描画そのものには大きな違いはない。
しかし、高速設定ではAAを掛けていないので、ドットのエッジ感は強く感じる。
今回のサンプルは4倍に拡大しているので目立っているという考え方もあるが、明るい空に枯れ木というコントラストが強くなる場合には、よりドット感は強くなる。

フルHD解像度でのゲームプレイの場合、アンチエイリアスをどの程度重視するかは人による。
AAを掛けた34fpsと、AAを掛けない30fpsでは、毎秒たった4フレームの差しかないが、パーセンテージにすれば12%も低いフレームレートとなってしまう。
ドライバの最適化で「12%パフォーマンスがアップしました」と聞いたら、「なかなかすごいじゃない」って思うはずなので、あながち無視できない数値なのである。

この様に、「アンチエイリアスをかけた画像の為に、パフォーマンスを12%犠牲にできるか」というのは、簡単に結論を出せない問題である。
玉虫色の結論になってしまうが、ユーザーそれぞれが、好みや気分に応じて、選択していくしかないわけだ。

※今回は試していないが、もしかすると、2倍のSuperSamplingあたりはいけてるかもしれない。