the Elder Scroll 5 Skyrim: 期待通りのTESが来た

TES5がようやく私の待機するフランクフルトでも発売になったので、喜びいさんで復号化してプレイ。
長めの復号化とインストールを経て、うれしいタイトル画面が広がる。

  
   PVはよくできており、ゲームの雰囲気をよく伝えている
  



■安心のTESらしさ
ゲームスタート後、よく分からない戦争捕虜として処刑される導入とキャラメイク。
その後の町の襲撃と、チューターを兼ねた脱出行はTES4や同社のFO3シリーズに近い、安定感のある構成。

その初めてのクエストの最中に、帝国の軍人と、捕虜仲間のどちらと共に脱出するかの選択があり、選んだ側によって脱出行で敵となる勢力が変わる仕組み。
とりあえず、「このシチュエーションで帝国側もねえだろう」とSkyrim解放戦線的な方についてみた。

Oblivionはいきなりの押しつけで、メインクエストに誘導されてげんなりしたものだが、こういう仕掛けになっているなら、
「自らの選択でシナリオが動いていく感」がとても強くて楽しい。

そして、はじめてのクエストが終了すると、その後は「何をしてもいい」という完全自由なスタイルになる。
一応、「姉がこの近くの街で水車小屋を営んでいる。きっとお前の力にもなってくれるだろう」と誘導はしてくれるが、行くも行かないも自由任せになっている。
(マップ構造的には、だいたいどうやっても行き着くが、絶対ではない)

 
  見た目のエディットはFONVよりは使いやすいが、そこまで極端にはいじれない



■アクション周り
ベセスダの同エンジンのプレイヤーキャラは相当にぎこちない動きをする。
そしてこの特徴は最新作Skyrimでも健在だ。

今時、膝下くらいの段差でもひっかかるし、攻撃モーションはあらかじめ用意された数パターンを律儀になぞるだけの固定モーション。
ジャンプをすれば、明らかに人形じみた挙動も見せる。

取得可能なオブジェクトについても、小さなもの一個ずつをそれぞれインタラクトする必要があり洗練に欠ける。
例えば、机の上にカゴがあり、その中にリンゴが3個入っている場合、リンゴを取りたいと思ったら、それぞれのリンゴにカーソルを合わせて3回選択しなければならない。
同社のRAGEの様に、「近くにあるものをまとめてインタラクトする」という方式の方がスッキリしている為、明確に退化だとも言える。

 

一方で、360パッドには対応しており(というかこちらがメイン)、右トリガーで右手、左トリガーで左手にバインドした武器や魔法を使うのは分かりやすい。
例えば、

・右手に片手剣、左手が素手
 右トリガーで剣攻撃、左トリガーで剣でガード

・右手に片手剣、左手に盾
 右トリガーで剣攻撃、左トリガーで盾ガード

・右手に噴炎の魔法、左手に片手剣、
 右トリガーで魔法攻撃、左トリガーで剣攻撃

・右手に噴炎の魔法、左手に癒身の魔法
 右トリガーで魔法攻撃、左トリガーで回復魔法

・両手で弓を保持
 右トリガーで射撃、左トリガーでパンチ

と言った具合で、装備のバリエーションでキャラクターの戦闘スタイルまで設計できる。
武器や魔法は「お気に入り」に登録しておくことで、クイックメニューからの呼び出しが可能となり、比較的少ない手間で持ち替えも可能だ。

また、トリガーを長押しすることで強攻撃となり、左スティックの方向入力と併用することで、それに即した強攻撃アクションを使い分ける事もできる。
(むしろこれに気づかないと、グイッと押し込むので弱攻撃が出せない)

ただしアクションゲーム感は相変わらず少なく、Wなんとか2、DarkSouls、War in the Northなどと比べて、戦闘アクションでは見劣りはする。

まとめると、不快な操作系にはなっていないが、システム周りは古くさく、「RPGだからギリギリ許される水準」に留まっている。
戦闘アクションのおもしろさは、期待してはいけない。

 
  スキルは使ったものがあがる伝統のスタイルだが、スキルツリーがある



■グラフィック、サウンド、ダイアログまわり
グラフィックはTES4よりは進化しているが、思い出にある(=当時の時代感にそった印象上の)TES4のグラフィックと比べれば「あまり変わらない」。
「広さ」に関しても、FO3にちかい距離感覚と行動範囲に留まる印象で、数分歩けば隣の街なり目的のダンジョンにまで行き着く。
つまり、旅そのものを楽しむ作りにはなっておらず、Morrowind感は薄い。

描画はフルHDの最高設定で40〜60fps。テクスチャの読み込み時に一瞬もたつく現象はあるが許容範囲。
GPU負荷はあまり高い方ではないので、アンチエイリアスを切っても、x8でMSAAを掛けてもフレームレートへの影響はほとんどでない(2〜3fpsくらい)。

グラフィック処理中にクリティカルパスが存在しており、その処理のせいでGPUもCPUも余っているのにフレームレートが伸びないというシーンもある(モクモク系があるシーン)。こういう場面の場合、30fps以下まで低下する。(がRPGなので許容範囲ではある)
グラフィックドライバ側のアップデートや、CPUリソースのチューニングで改善されるはずだが、そう言った修正が出るかどうかは分からない。

BGMは環境系ではないのだが、あまり耳に残らない自然なもの。
TESのイメージを崩さない選曲なので悪くはない。
効果音は足音や会話音量などを別項目で音量設定できるなど、細かな配慮がうれしい。
効果音の品質は特別よくはないが、不満に思う水準でもない。

会話は設定で字幕ONにすれば、すべて字幕表示される。
ただし、音声にあわせて勝手に切り替わってしまう方式なので、ヒアリングと同様の速度で読めないと理解は厳しい。
この辺は12月に日本語版に変化する(予定)ので、そこに期待したい。
なお、英語のCVは特別良くも悪くもないといった感じ。ドイツ語なまり風の発音のキャラがいるが、わざとなのかも知れない。

 
  ↑は最高設定で40fpsくらいだが、
  ↓の高設定なら50fps出ている。あまり差はないので好み次第で高もあり。
 



■結局おもしろいのか
シリーズのファンであったり、そうでなくても、「12月が待ちきれないな!」って程度に期待してるなら、とっとと購入して、英語版で先行体験するのがいいだろう。(ただしプレイには海外からSteamに接続する必要あり)

そうでもなく、他のゲームと同等の「話題作のひとつ」として捉えているなら、セールやゲームとしての熟成を待ってからの購入でも十分だ。
TES5は(おそらく)よくできたタイトルだろうが、このゲームだから成し遂げた新規性はないゲームに思えるからだ。

また、シングルプレイのRPGなので、他に旬のマルチプレイのゲームを抱えているなら、同作は12月の日本語版を待つことにして、マルチを熱いうちに楽しむ方が、ずっと合理的にも思える。