【FORZA4】 FORZA4は最高のレースゲームになり得たのか

FORZA4が発売された。

予約はしていなかったのだが、0時過ぎにamazonを覗いたらお急ぎ便対象だったので注文。
amazonは土曜中に発送できる見込みがあれば、木曜発送できなくても予約を継続するので、直前、予約差し込みは絶対しない方がいい。
在庫ありを見てから、お急ぎ便なら、発売前日に予約して通常発送よりもまる1日程度速く届く。

ちなみに、私はレースゲームを専門にプレイしていない人の中では、レースゲームが好きな方というユーザー。
特別な技能は持っていないが、チューニングやクルマの知識、操作技術は一般のゲーマーよりは豊富だと思っている。

  


■FORZA4の基本的特徴
まず概要から先に述べると、レース面では前作(FORZA3から)大きくは変わらない。
グラフィックの質が向上したと一部で言われているが、テクスチャ解像度のバランスを見直しつつ、環境フィルタ的な絵づくりに振ってきただけで、単純に好みの範疇にあると思っている。

一方でレース以外の部分については、かなりの進歩が見られる。
その最大のものが、ソーシャルゲーム要素を大きく盛り込んできた事で、よりユーザー間の交流を促しつつ、DLCでの収益にも期待するモデルとなっている。

・レース中のグラフィック、車体挙動
まずグラフィックだが、60fpsを保障するものではないが、30fpsを下回るシーンは僅かで、性能の低い360のゲームとしては見た目、フレームレートともに善戦している。
ただし、レース中は1080pでのレンダリングは行われておらず、内部解像度は高くない。これでパッケージに「1080pのゲームでござい」と表記するのは詐欺的にも感じる。
※補足(2011.10.15) 1920x1080よりも若干小さな解像度で描いて、表示時にストレッチしてエッジを落としている(疑似FSAA)ような感じ。720pよりは明らかに精緻。

また、バックミラー内については20〜30fpsでの更新となり、やや気になる重さがある。
また、トラック(コース)の描写についても、前作、FORZA3と比べて明らかに綺麗という事はない。むしろ表現方法が変わったことで、コントラストの強いトラックでは、極端なピクセルがチラチラとして、見苦しい場面もある。

車体の挙動は、FORZA3ゆずりのトラクションマネージメントを重視した挙動。
実車に乗ったことはないので、正解なのかは分からないが、シミュレータよりのゲームとして説得力は感じるものになっている。多くの人が満足できるのではないだろうか。
※車体挙動はデフォルト設定ではなく「エキスパート設定」から、ABSだけをオンにしたもので述べている。

少し気になったのは、路面のバンクの拾い方について。
制御を失いそうな調子でやや高めの路肩に乗り上げても、それほど酷いことにはならない。パワーのあるクルマでコーナーリング中にアクセルをふかした場合、容易にグリップを失い制御不能になるのと比較するとかなり適当だ。タイヤ周りのシミュレーションに力を入れている反面、クルマそのものの物理挙動では、手抜きをしている可能性がある。

・オポーネントAIの動き
敵車のAIは人間くさい動きをする。
どういう事かというと、単純にうまくてクリーンな動きをするのではなく、オーバースピードでコーナーリングミスをしたり、時には露骨に幅寄せをしてきたりもする。
プロドライバー的な挙動ではなく、一般プレイヤーが動かしているような感じのAIが混ざるといった感じ。
とは言え概ね良くできており、同じクルマで楽々と1位になれるようなイージーさは薄い。
(うまければ当然別)

サウンド、BGM
エンジン音とタイヤのスキール音は、(実車を知らないという前提で)リアルに聞こえるが、スキールにはもう少し幾つかのバリエーションが欲しかった。
ラクション重視のバランスなので、「音」という情報も活用したいからだ。

BGMはメニュー画面中は無難な選曲で普通。
ただし、レース中の選曲はかなり酷い。耳障りな曲が多く、気持ちよく走ることも、曲調に乗りながら楽しむこともできない。
「選曲なんて所詮好みだろ?!」
って言われればその通りなのだが、セガ系のレースゲームの曲がいいと思う私にとって、この選曲センスは理解できない。「ない方がずっといい」と真剣に断じれる。

・メニュー、ソーシャルコンテンツ周り
メニューは画面遷移が直感的でない部分があり、やや分かりづらいが慣れの範疇。
表現技法としては、企業的で見栄えのするデザインが採用されている。

ソーシャル周りは、シリーズの特徴である、デザインやチューニングをゲーム内通貨で販売/購入する要素がある。
これとは別に、本作からクラブ(往年の言い方で言うとギルド)を作ることができ、レースチームとして活動ができるようだ。裏読みをするなら、ユーザーが自分だけの都合でやめづらい様にできている。

・課金コンテンツ
やめづらくなっているのは、プレイをし続ける限り、金を遣ってくれる可能性のある、課金コンテンツのせいでもあろう。

カーパックという金を払うことで購入可能な車種を増やすタイプのDLCは本作でもあるのだが、それに、「6ヶ月メンバーパック」的なものが追加されている。
これは会員になっておくと、その後、毎月リリースされるカーパックを6ヶ月分受け取ることができるというものだ。当然、毎月のカーパックをバラで購入するよりも、単純にお得な価格設定になっている。

 6回分(6パック)=2400ゲイツ(3600円)
 1パック(10台?)=560ゲイツ(840円)
  クルマばら売り =160ゲイツ(240円)

コンテンツ量から見れば、極端に高いと言うことはないし、なければ楽しめないとか、持ってないと不利という事もない。
ただ、ゲームパッケージとは別に、6ヶ月で3600円余計に取ろうというのは、なかなか迫るモノがあるなと感じた。

さらに、ゲーム内でクルマはレースをすると貰える賞金(ゲーム内通貨)で購入するのだが、それをリアルマネーで行えるようにする課金形態もある。
具体的には、80万クレジットするZ4 GT3だけど、2トークンでも買えますよというもの。

 1トークン=80ゲイツ(120円)
 6トークン=400ゲイツ(600円)
 13トークン=800ゲイツ(1200円)

安いクルマなら1トークン。最高車種なら3トークンとなる。
レースのランクにもよるが、初期のレースではひとつのレースをして2000〜10000クレジットくらいの稼ぎになるので、80万クレジットを貯めるには100回程度は走らないと買えない。それを200円程度で入手できなら「それもありかな」と思える微妙な価格設定だ。

キネクト対応
FORZA4はキネクトに対応している。
とは言え、メニュー周りのジェスチャー音声認識はあまり使えない。パッドの方が正確に、素早く操作できるし、音声認識は両手がふさがった状態で便利になるものだからだ。

じゃあまったく無意味かというとそうでもない。
キネクトでのヘッドトラッキングが行えるからだ。

これはキネクトでプレイヤーの頭部を検出し、その向きや傾きで、レース中の視線をコントロールするといもの。
例えば、大きな右カーブを曲がる際、通常ではそのまま正面に視点を置いたまま曲がる形になる。しかし、キネクトがあれば、ヘッドトラッキングで右側を見る(テレビの右端に顔を向ける)様な動きをすると、ゲーム内の視点も右にふれ、カーブの先まで見通しが利くようになる。

PCにおけるWEBカメラを用いたFaceTrackNoIRと似た技術だが、体感上、同等以上の効果が得られる。
取り込んだあとのデータ処理は、流石に細かくは調整できないが、デッドゾーンの設定は(私の感覚で)かなり適切だし、ゲーム内コンフィグでカメラを振る度合いや、顔の向きではなく、頭の傾きで視線を制御するような調整も行える。
このヘッドトラッキングにはFORZA4の特徴として、大きな価値がある。


FORZA3やSHIFT2と比べてどうなのか
まず、明らかにFORZA4は金が掛かっているゲームだ。単純に走ることだけで比較するなら、「好みの範囲かな」というゲームでも、その他のコンテンツ周りがこれだけ充実していると「高級なもてなし感」を強く感じる。
そのシナジーで、ゲーム自体も優れたものに感じるという部分はある。

FORZA3との比較
全体的には良くなっているのだが、レース中の描画の安定感や見やすさではFORZA3の方が上だ。
挙動モデルが近いこともあり、前作を全否定した上で「もう戻れない」というのは、やや宣伝口調すぎるというのが正直な所。

  

・SHIFT2との比較
(PC版の)SHIFT2は60fpsで動作し、解像度もFORZA4より高い。
テクスチャ品質やポストプロセスの充実度を考えても、グラフィック面ではSHIFT2の方が美しい。
挙動モデルに関しては、端的に言うと、SHIFT2を曲がりやすくして、反面、グリップを失いやすくしたのがFORZA4だ。チューニング次第で補正できるような範囲かもしれないし、(ゲームとして)優劣はない。

・つまり
グラフィック品質ではSHIFT2。
対戦や豊富なコンテンツなどの周辺武装面は圧倒的にFORZA4。
トラックの数や質ではほぼ互角。

比較する意味というのは、「優劣をはっきりさせる」と言うよりも、「前作や類例を基準にして、どの程度期待できるのか」を明確にするもの。
その観点において、FORZA4は、前作やSHIFT2を楽しめたユーザーでも手に取る価値はあると言える。(後発だから当然ではあるのだが)


■インプレッションのまとめとして
PC品質のグラフィックであるSHIFT2に全面的に勝るものではない。
ただし、圧倒的なおもてなし感と、説得力のある挙動は素晴らしい。
360を持っていて、興味があるなら買う価値はある。