ミップマップ詳細レベル設定で、テクスチャーの画質はどの様に変化するか?

AMDグラフィックカードには、設定項目に「MipMap Detail Level」と言うものがある。
日本語ではミップマップ詳細レベルという項目で、最高画質のミップマップをどの様な解像度とアルゴリズムで生成するかを定義している。

今回はこのミップマップ詳細レベルの設定を変えると、テクスチャに対してどの様な影響がでるかを見ていきたい。

※なぜか最近のフロントエンド(CCC)ではミップマップ詳細レベルを選択できない場合がある。その際は、「ATI Tray Tool」などの支援アプリを使えば手動で設定可能だ。


■実験の背景
ミップマップ詳細レベルを設定した場合、「何となく綺麗だ」とか「すっごくぼけてる」という違いは体感できる。
しかし、そのクオリティの対する影響度が具体的に分からないので、「何となく適当に設定してしまっている」という現状がある。

ミップマップ詳細レベルの違いによるテクスチャ品質の違いを明確にすることで、ドライバの項目設定に対する主体性、的確性の向上を狙う。


■実験方法
画質比較に際してしばしば用いられる、フォトショップなどで画素差分を取る手法は「ふたつの画像が異なること」はうまく表すことが出来るが、「ヒトの眼で見た場合にどう違うか」を明確にできない。

そこで、「虐襲4(ぎゃくしゅうよん)」というエロゲーを利用する。
このゲームでは、(珍しいことに)すべてのグラフィックがミップマップ詳細レベルの影響を受ける。
つまり、2D画像の一枚絵での比較が行える為、一般のゲームで3D表示を使った場合よりもより的確な比較ができるという訳だ。


■実験結果
スクリーンショットを撮り、縦横それぞれ4倍(=つまり16倍に)拡大し、それをアニメーションGIFにしたものが以下の画像である。


(2秒毎に切り替え。元々フルカラーだが、アニメGIFにする際に256色になっている)

見れば分かると思うのだが、ドライバで設定可能な「最高画質」「高画質」「パフォーマンス」「ハイパフォーマンス」の4項目の中では、ハイパフォーマンスだけが飛び抜けて画質が悪い事が分かるだろう。
その他の3設定は、アニメーションGIFになっているので違いが分かるが、極端な差はない。

印象としては、最高画質→高画質→パフォーマンスと画質を落としていく毎に、テクスチャのシャープネスが失われていく。

・最高画質→高画質
ほとんど差はなく、横に並べて表示しても明確に区別するのは困難。

・最高画質→パフォーマンス
目立った差はないが、全体的な印象としての解像感に影響が出る可能性がある。

・最高画質→ハイパフォーマンス
はっきりと違いを認識でき、また、ゲームとしてのクオリティに不満足を感じる水準。


■結局、どの様な設定が良いのか
普段の設定は「最高画質」にしておけば問題ない。
その上で、60fpsに張り付かないゲームをプレイする場合に、お手軽な負荷軽減の方法としてミップマップ詳細レベルを高画質やパフォーマンス設定を試す。
動きを重視するゲームの場合、この程度の画質の低下で数フレーム稼げるのであれば、その方が断然良い。

一方でハイパフォーマンス設定はあまりにもひどい為、「1fpsでも稼げれば画質はどうでもよい」という極端な場合を除き、選択する価値がない。


Radeonのバグ
ゲームがクラッシュした際などに、ミップマップ詳細レベルが勝手に「ハイパフォーマンス」設定されてしまう事がある。
これは単純に再起動を行っても修復されないので、「なんかおかしい」と思ったら手動で設定しなおさなくてはならない。

(私の主観で)特に問題ない画質のゲームに対して「テクスチャがボケボケ」などと評している人がいるが、もしかしたら、この辺にはまっているのかも知れない。