【The Lord of the Rings: War in the North 】 オブシの新作と言われても信じる良作

ファンタジーセッティングのアクションRPGが出るぞって事で、直前予約して購入。
特別に期待していたタイトルではないのだが、期待していた方のタイトルが軒並み残念なことになってるのがいけない。
11日のTES5までしっかり楽しみたい。

   



■ゲーム概要
映画ロードオブザリングのサイドストーリー(バックストーリー)として、北部地方を舞台にオリジナルのストーリーが展開される。
いわゆる原作モノのゲームなのだが、ミドルアース自体が典型的なエピックファンタジーなので、原作や映画をまったく知らなくても特に問題なく楽しめる。

プレイスタイルは、クエストがオブジェクティブになっては居るものの、基本的に一本道のアクションRPG。(少なくとも序盤は)
エルフ、人間、ドワーフからひとり人選び、やや大目の敵をなぎ倒しながら前へ進んでいくゲームだ。

基本的にはアクションゲームなのだが、敵を倒して経験値をためることでレベルアップし、キャラクターを成長させられる。成長要素にはスキルも含まれており、それらを習得するとこで、戦闘時に可能なアクションに幅が出てくる。
また、装備品の要素もあり、装備によって見た目もまずまず変化してくれる。セットアイテムの概念もあるので、「単に強いのが出たから作業的に着替えるプレイ」よりは面白みがあると思う。



■難易度のとり方
アクションゲームをおもしろく見せるにはふたつの手法がある。
ひとつは何度も失敗させるが、やり直しが嫌にならない様に支援しつつ、プレイヤーを育てることで困難を克服させる手法。
もうひとつは、何度も酷いピンチに陥るが、ギリギリの所で切り抜けさせることで、達成感を味あわせる手法だ。

本作は基本的に後者を採用したゲームである。

敵の数は多めで、同時に襲い掛かってくるため、囲まれるシチュエーションは結構多い。そんな中で無理に戦っていると、あっという間にライフを削られてしまう。
ただライフが0になってもその場に倒れるだけで、仲間に助けてもらうことが可能だ。
助けるには2秒ほど近くでボタンを押してもらう必要があるが、攻撃が激しくて助けられないというケースはさほど多くない。

つまり、よく死ぬが易々とはゲームオーバーにならない様にできている。
雰囲気としては、Huntedが近い。



■アクションのおもしろさ
本作は背中視点の剣戟アクションとしては、やや動作が重い部類だ。
ポーションは他のアクション中であっても飲むモーションなしでいつでも使えるが、回復はジワジワと回復するタイプなので、本当に危なくなってから飲んでも手遅れになる場合がある。

近接戦闘にはモーションがすばやく連打が利く小攻撃と、モーションは大きいものの崩した敵をどつく事で、ヒーローモードに突入できる大攻撃がある。
大攻撃はほうって置くと1秒近く行動できないので、攻撃は小攻撃で行い、敵のアタマの上に黄色の「▽」が出たとき(=崩したとき)だけ大攻撃を行うのが基本。

黄色の▽にあわせて大攻撃を行うことで、ヒーローモードに突入する。
ヒーローモードは言葉は大げさだが、次に攻撃を受けるまで、分からない程度に攻撃力がアップするというもの。
この攻撃力のアップは、さほど意識できないのだが、ヒーローモード中にコンボを決めていると、一発どつくごとに経験値に倍率が掛かっていき、十数倍の経験値を獲得できたりもするのは楽しい。
また、普通に攻撃をしているだけでも、たまたまクリティカルヒットをしたり、とどめの一撃を決めると、派手な破壊音とともに経験値アップするのも、爽快感を高めている。

※かなり効率的に経験値を稼いだ場合に、ゲームバランスの整合性が取れるのかはまだ分からない。

 

一方で、すべてのキャラは遠距離攻撃やスキルの使用も可能だ。
遠距離攻撃は弓や魔法で行い、ごくわずかに構えモーションがあるものの、体感上一瞬で切り替えて行える。
近距離の敵をコンボでなぎ払い、遠方のアーチャーを射殺し、さらに抜刀してにじり寄ってくるゴブリンに射掛け、近づかれたら剣に持ち替えて切り伏せるような、流れるようなプレイを楽しめる。

また、回避アクションとして(たぶん、無敵時間ありの)ローリングを行えるのだが、このローリングには大攻撃のフォローバックモーションをキャンセルする効果がある。
どういうことかというと、通常、大攻撃を行うと、ズガーンと敵を殴りつけてから、0.8秒程度動けない時間が生まれる。しかし、その間に回避アクションを行うことで、硬直時間であってもローリングし、動けない時間を短くすることができるのだ。

多くの敵に囲まれているシチュエーションで、大攻撃を決めて、安全な方向へ回避できるテクニックなので、これができるだけでゲーム性がかなりあがる。
視点こそ違えど、やや似たゲーム性を持っている、ダンジョンシージ3で実装されておらず残念に思った部分なので、小躍りするくらいにうれしい。



■システム面
描画はテクスチャ読み込みでやや引っかかる場面があるものの、ほとんどの場面で、最高設定で60fpsで安定する。
アクションゲームでは非常に重要なポイントなので、これはうれしい。
Core2Quad@4Ghz + HD6970 + Vista32bit )

解像度を含めた描画オプションの設定は充実している方で、最近のコンソールマルチのタイトルではむしろ珍しい部類。ただ、PCでゲームをする人の場合、このゲームは特別重くはないので、全部最高設定になってしまい、オプションの意味がないのではという向きはある。

グラフィックの品質は、オブシ塗りなので、ややバタ臭い感じをうける。
決して品質が低いわけではないのだが、光処理重視で、色調を統一させたあわめの塗りが主流な昨今ではやや見劣りして見えるかもしれない。

サウンドの質はBGMの質は高い。映画ロードオブザリングのものをそのまま持ってきているか、強く意識して作ったのだろう。
効果音も問題ない水準で、「あーここ、今カッコいいシーンですよ」っていうアクションが出た場合には、「グワン」って鳴るのもうまくていい。

一方で、CV(キャラボイス)に関しては、「まあ、別にすごく不満があるわけではないけど、うまいとはいえんな」って水準。英語のヒアリングは程ほどにしかできないので、本当に下手なのかは断言できないが、「海外PCゲームが日本語でローカライズされた時の演技」をイメージしてもらえばそんな感じだ。エロゲーなどで一流のCVに慣れていると違和感が大きい。

操作は、360パッドに対応しているが、ヘルプメッセージの一部については、キーボード+マウスの表記のままであったり、逆にキーボード+マウスで操作している場合であっても、360パッドのアサインが表示される。
(抜いておけば問題ないだろうが、わざわざ抜くのなんて普通に考えてかったるい)

 
  ダイアログでの選択はあるが、どれを選んでも大差ない感は強い。



■COOPプレイ
まだ未プレイのCOOPプレイなので、実際には違うかもしれないが、シングルプレイをプレイして感じた点としては、「NPCが人に置き換わっただけのゲーム性」なのではないかという印象がある。

もちろんCOOPプレイ対応を謳ったゲームなので、COOPに対する一応の配慮はされている。ただその方向性が「制限を露骨にかける向き」に働いているのが残念。
具体的には、仲間とあまり離れないように、「全員揃っていなければ通過できないポイント」がやや多めに設けられている。

これはアクションゲームでCOOPを実現する上では必須のことではある。しかし、L4Dでが「離れすぎると勝手に死ぬ」という自然なアプローチを採用していたり、同種の進行制限でも、Huntedが「ふたりで操作して扉を開く」など工夫をしているのに対して、「なぞの光の壁があり、全員揃わないと進めない」ってのは、自由な行動を阻害されている感じがして、あまりほめられたものではない。

COOP主体のゲームと比較すると、プレイヤーが人間だからこそできるような連携が特にあるわけでもなく、やはり淡白な印象が強い。
COOPゲーではなく、一応COOPも遊べるゲーだと思っておいたほうがいいだろう。
※同種のCOOPならHuntedのが上かもしれない。

 
  この地味なのが光の壁。全員揃わないと先に進めない。



■まとめ
いかんせん、まだスキルも取りきっていない序盤での話なので、面が進むごとにどんどんおもしろくなっていったHuntedの様に、最終的にはおお化けするかもしれない。
また、淡白に感じる序盤にしても、「期待通りのおもしろさ」はきちんとあり、不快な点も少ないので、遊べるゲームの水準は満たしている。

超絶期待の新作ではなく、次の期待作までのつなぎとして楽しむのであれば、問題なくその役割を果たしてくれることだろう。