Modern Warfare 3: 拡張パック的新作

スルーしようかなと思っていたけど、話題性につられてプレイしている。
なお、私はこういうスタイルのゲームのマルチは好みと合わないのでプレイしない。
ここでの感想や印象もシングルプレイでのものである。

 



■基本的な部分
MW2とほぼ同じなので、MW2をプレイ済みの人はアレだと思えば問題ない。
MW2を未プレイの人は、MW3はMW2の続編だし、そもそもシステム的な差はほとんどないので、(もしプレイするなら)MW2からプレイするといいだろう。

というのも、COD4(=MW1)とMW2は「一応繋がっている」程度の関連性だったが、MW3はMW2と「もろに繋がっている」ので、本作から新しくプレイするとストーリー面で完全に置いてきぼりを食うハメになる。

一応まとめると、
・自動回復シールド制(被弾しても隠れていれば回復する)
・銃の命中精度は高め
・リコイルは少なめ(だが、本作はMW2より大きいような印象もある)
・ひたすら敵を倒して前に進むゲーム性
・派手な演出、派手なサウンド
・動かすキャラがコロコロ変わる
とったゲームになっている。

まあ、よくあるスタイルのゲームだが、動かすキャラがステージ毎に変わるのは、他のシリーズではあまりない個性だと思う。(私はあまり好きじゃない)

普通にクリアする分には攻略性はほとんどなく、例え死ぬようなことがあっても、やり直しが苦にならない位置からすぐにリスタートするので、適当にやっていればそのうちクリアできる。
マップは基本的に一本道だが、若干のルート選択や位置取りの要素はある。

シングルプレイはアホ向けにデザインされたゲームなので、いろいろ攻略法を工夫するのが楽しいという人には向いていない。
(クリア後のやり込みモードは、まだプレイしていないので分からないが、前作同様なら工夫を楽しむ余地はある)

 
  表現方法としては、陰影をより重視した形。見づらい。



■まずは文句から
・考える時間をまったく与えずに追い立てるゲーム性
元々CODというシリーズはそういう作りなのだが、本作はこの「あわただしいな!」という感覚が非常に強い。
「アレやれ、コレやれ!」という忙しさは、COD1などと比べれば随分と落ち着いてきているが、止まったら死ぬのかってくらい撃って移動、撃って移動の繰り返しになる。

例えば、ホラー映画では、静かなカメラワークで「なんか出るぞ、なんか出るぞ」と煽りまくったあげく「どーん!」と出して、「ホラ、来た」と思わせた後で、一瞬落ち着かせて、油断させた所でもう一発かます
この様に、爆発の威力をより大きなものにするには、適度なタメが必要だ。

戦闘するなら戦闘する、会話するなら会話する、移動するなら移動するでもう少し、行動にコントラストが欲しい。

・敵の視認がしづらい
MW3とMW2の最大の相違点は、この「敵が見づらくなった部分」にあると言ってよい。
これは影の表現が極端で、交戦距離がやや遠目に調整されている為だ。

この為、前作では「見えている敵に、素早くエイムして、ビシっと射殺する」というゲーム性だった所が、「敵を探して、素早くエイムして、ビシっと射殺する。ただし、発見が遅れた分、既に撃たれている」というゲーム性に変わってしまっている。
MW3に期待するのはアーケードゲーム的な軽いゲーム性なので、他のミリタリーアクションにあるような、こういった要素は余計な事なんだよね。

・うるさい音量バランス
本作は全体的なボリュームは調整できるが、よくあるような「BGM、効果音、会話」に分かれた音量調整の機能はない。
だから、デフォルトの音量バランスでプレイする事になるのだが、会話をよく聞こえる音量に設定すると「発砲音を中心とした効果音がややうるさい」という感じになってしまう。

アクション映画などではよく使われる、迫力を増す為の技法なのだが、このゲームの場合は「戦闘しながら会話するシチュエーションがすごく多い」ので困る。
セリフが埋もれて聞きづらいという事はないのだが、普段、会話音量だけ上げてプレイしている人には気になる要素だと思う。



■流石だなという部分
・軽くて綺麗な描画
ミドル級くらいのPCでも軽く動くのは前作からの特徴でもあるが、本作でもこの部分は健在。
この為、描画設定を最高にしても、すべてのシーンで(まあ、まだクリアしてないが、多分)60fpsをキープできるようになっている。リフレッシュレートは複数から選べ、Vsyncも設定できるのでほぼ理想的な作り。

前作から特別進歩していないエンジンなので、軽くしようとしてなったわけではないとしても、個人的には歓迎できるつくりだ。

グラフィックの品質は、最新のテクノロジーを使ってはいないが、特別に不満はない水準がある。視線誘導などに関してはちゃんと意識されているので、自然とうまい具合に演出が決まる。
ただ、SSAOに関しては「ただでさえ見づらい敵がさらに見づらくなる」のでOFFにした方がいいかもしれない。デフォルトで「焼き」が入った絵なので過剰にも感じる。

 

・カッコイイ演出
これも同シリーズの特徴なのだが、主人公と主人公のチームは揺るぎないエリートなので、滅茶苦茶強いし、ひたすらかっこよく出来ている。
10倍量の敵をなぎ倒すくらいは余裕で、普通だったら死ぬしかないピンチも「危なかったな!」程度で済ませてしまう外連味がある。

嘘くさいといえばそうなのだが、「自分で動かすアクション映画」というコンセプトを考えれば、実に成功している部分だと思う。

また、ローディング画面にしても、動画を再生しながらのロードとなるので、期待感を高めながら待つことができてよい。



■まとめ 〜買う価値はあるのか〜
(少なくともはじめの数ステージの完成度は)前作と比較した場合、今作は前作には及ばない。これは際だって何かが悪いわけではなく、少ない減点が積み重なったような形で悪い。
また、前作からの「明確なパワーアップ部分」が存在せず、拡張パック(追加シナリオ)の域を出ないのも、ワンダーが足らないという意味では残念だ。

しかしながら、現在プレイできる新作FPSとしては、十分に楽しめる水準は満たしている。
現在の最安値で4000円程度なので、「ちょっと興味がある程度」だとやや高いが、40ドル程度にまで下がれば、価格相応の満足は得られると思っている。

また、「FOV変更できない」とか言われているが、このゲームのFOVはこれが適正であり、特に狭くはない。
そもそも、プレイヤーが自分で変更しないとベストにならないなんて状態で発売するくらいなら、はじめからベストな状態で発売すべきというのが、私の持論である。
(描画が重いからFOVを狭くして誤魔化すってのは別。仕様が悪い)

なお、ロシア版は、ロシアからの認証が必要な上、メニュー、音声を含む「完全ロシア版」なので、ロシア語が読めない人がプレイするのは大変だと思う。(ローカライズの質は笑える程よくて、CVはロシア版のがよかったりもすんだけどね)
「プレイしたいけど60ドル出す気はねえな」って人は、ちょっと待てば安くなる感じがするので、それに期待した方がいいだろう。