GlobalOps: 20世紀末を感じるゲーム

Steamセールのよい点は、定価じゃとても買わないようなゲームでも、手に取りやすい価格で挑戦出来る点にある。
どの程度の完成度なのか分かっているメジャー作は、単純に安いかどうかだけでしかない。しかし、素性の知れないゲームであるなら「本来ならプレイしなかったであろうゲームに触れられる」という点で、大変、魅力的だ。

今回のGlobalOpsもまさにそんなゲーム。
なお、セールに間に合うように、2面までプレイして書いているので、3面以降別ゲーでも責任は取れない。

 
  パッと見の印象はまずまずに思えるが、実際に遊ぶとそれなりにしょぼい



■ゲームの雰囲気
GlobalOpsはスクリーンショットはまあまあ綺麗だが、キャラクターの動きは全然リアルではなく「もろにゲームの動き」といった感じ。
例えるなら、モーションキャプチャーの設備がない専門学校生が手動でモーションを入力しました的な感じがありありとしている。
なめらかかつ、リアルな動きの方がいいに超したことはないが、2000年くらいのゲームではよくあったスタイルなので、そこまでキツイ違和感はない。
むしろ懐かしいくらいだ。

ゲーム自体はサードパーソンシューティングで、狙った所に弾は飛ぶ。
ただし、銃口の位置とカメラ位置が横にずれているので、一見直接狙える様に見えても、キャラのすぐ目の前の障害物に当たってしまい敵まで届かないなんてことも起こる。
そりゃ、そう言った部分も考慮して撃てる方が何倍も優れているが、2000年くらいのゲームではたまにあったスタイルなので、そこまで殊更に追求するような問題ではない。
むしろ懐かしささえ感じる。

ゲーム展開は、プレイヤーキャラとNPCの仲間ひとりで進行し、プレイ内容は比較的変化に富んでいる。
例えば1面だけを例にしても、普通のTPSとしての射撃戦の他に、カバーを利用して敵装甲車を破壊するだとか、ボートで逃げながら追っ手を倒すだとか、頭上からゴロゴロ転がってくる鐘から必死に逃げる(!)だとか、攻撃ヘリコプターとの一騎打ちなど、本当に多彩。
ただ、ステルスはそれっぽいシーンはあるものの、「忍び足」や「しゃがみ」がないのでうまく行かなかったり、狙撃銃を使っての狙撃では、角度的にまったく狙えなかったりとなかなか楽しませてくれる。

2000年くらいに中堅くらいのゲームメーカーが作っていたような、ちょっとおかしいゲームって表現がまさに適切。
現在の視点でなら「クソゲー」と言う人が居てもおかしくはないが、不思議なことにそれでもゲーム自体は変化があるし、なかなかおもしろい。
悪い部分を見て減点方式のマインドではまったく楽しめないが、おかしい部分を笑い所として許容できるなら、それなりに楽しめるのである。

 
 
  装甲車やボートに乗って戦うシーケンスもあり、なかなか多様



■ストーリー
1968年1月21日。
核ミサイルを輸送中のB52が墜落し、核ミサイルが行方不明となる・・・。
から始まるのだが、このゲームの舞台はなんと2011年。密かにソ連がその核ミサイルを入手しており、それを今になってロシアの武器商人がリビアに対してそれを売ろうとしているという話。
それを阻止しようというのが、主人公の所属する特殊部隊というゲーム。

現実の2011年のリビアと言えば、丁度内戦の最中だが、ゲームではそう言った事は描かれていないようだ。



■システム周り
グラフィックはワイド画面を含んで各種解像度に対応しているが、解像度以外のオプション設定はガンマ調整しかない。
もっともデフォルトの設定でも非常に軽いので、設定を下げてパフォーマンスを上げるなんて必要は一切ない。

 
  非常に軽いのはメリット

サウンドは標準的な作り。よいわけではないが、耐えられないほど悪くはない。
ボイスはちゃんとその時、そのキャラがしゃべっている言語で話すリアルな作り。ソ連人はロシア語+英語字幕になるし、リビア人も商談に際してはたどたどしい英語で会話したりしている。

操作系は現在の主流と比べるとかなり特殊。
根本的にキーバインド設定などがないので、ゲーム内でこれらを好みのキーに変更することはできない。(UE3なので自分で変えれば済むと言えば済む)
ASDWで移動、右クリックで狙い、左クリックで射撃まではいいのだが、しゃがんだり、ジャンプしたりはできない。
またシフトキーでのダッシュも行えず、ダッシュしたいと思ったら、Wキーを2回ポポンと押して押しっぱなしにする必要がある。

この2回入力は前だけでなく左や右、後ろでも可能で、それぞれ緊急回避的なクイックムーブが発動する。
ダッシュ中やクイックムーブ中に壁や障害物に触れた場合は、それに張り付き、いわゆるカバー状態になる。
このゲームにはしゃがみがないので、敵と撃ち合う際はこのカバーを使って障害物を利用するテクニックが重要だ。

なおFキーでサイレントアタック(どつき)、Gキーでグレネードを投げることが出来る。
武器はふたつまで同時に所持でき、ホイールか数字キーで切り替えられる。武器毎の特性は、アサルトライフとショットガンは流石に違うが、アサルトライフル同士であればあまり差はないというリアルな作り。

ダッシュの操作系が変わっているのは、「慣れればこっちのが楽」なのでよいとしても、今時、しゃがみもジャンプもないのはなかなかに思い切ったオミットである。
ジャンプがなければスタックして動けないなんて悲劇がなくていいねと思うだろうが、このゲームではジャンプしなくても地形にはまる事があり、イチイチ笑わせてくれる。

なお、ライフは自動回復制で、極端に難しいゲームではないのだが、少しばかりでは死なないので逆に油断してカバーに入る前に死ぬことがある。



■7.5ドルならありかもしれない
10月末に出たばかりのゲームだが、ひと月たたずに早速75%引きの7.5ドルにてセール中というやる気のあるゲーム。
ただし、現在の視点で見ると、どうかんがえても「ヘボイゲーム」なので、手を出してみようという場合には覚悟を持って臨んで欲しい。

ただ、この値段でこのクオリティなら、興味を持った人に「やめとけ」って言う程は悪くないと思う。
逆に言えば、適正価格が7.5ドルあるかないかなので、セール以外での購入はよしておいたほうがいいだろう。メタスコアは50を切ってくる可能性が結構あるレベル。

「ゲームに詳しい人が、爆死覚悟で臨めば思ったより楽しめるゲー」という特殊なカテゴリーのゲームであることは間違いない。