Fortune Summoners: サイドビューアクションの傑作

横ビュー全方向アクションというジャンルがある。
例を示すとグーニーズとかコントラとかソーサリアンとか、ちょっと古めのアクションゲームでよく採用されていたシステムだ。

Steamの新作にいきなり現れた「Fortune Summoners」も同ジャンルで、早速購入してみたので、テイストなどをお伝えしたい。

   



■ゲームの言語バージョンについて
動画を見れば分かると思うが、このゲームは日本の同人ソフトの英語ローカライズ版だ。

Steamのショップページを見ると「日本語」の文字も書かれているが、純粋に英語版で日本語リソースは存在しないので日本語表示は無理である。一応、音声のみ日本語という体裁なのだが、セリフをしゃべってくれるわけではなく、かけ声のみの音声なので、「英語字幕+日本語音声」という訳でもない。
一応確認してみたが、デモ版から持ってくるのも無理だし、日本語パッチをダウンロードする事もできない(プロダクトID管理でのDL形態)。
なので日本語で遊びたい場合は、日本語版を購入した方がずっといい。

(直接リンクは張らないが)
ベクターなどで3600円くらいでDL版が売られている。
また、パッケージ版として、音声をフルボイスにして、追加コンテンツを加えたものが6800円で売られているので、豪華な方がいいって人は、amazonで探すと購入できる。
特に豪華版の声優は(うまいかどうかは別として)本当に有名な声優を使っている。

 



■ゲーム内容
ゲーム内容は少しだけ育成要素のある、横ビューファンタジーアクションゲームである。
大まかに、会話で話を進めるパートと、パーティーを組んで敵を倒しながら進行するパートに分かれている。
会話部分は必要な会話を全部行わないと次に進めないようになっているので、「大切な話を聞き漏らす危険性」はないのだが、ややフラグ的な挙動なので、「とにかく、とっとと敵を倒させろ!」って指向がある場合は面倒に感じるはず。

ただ、この会話パートは相当よく出来ていて、主人公や他のキャラクターがどういう人物で、なんで敵と戦うのかあたりの動機付けはかなり自然に行われる。
こういう部分は洋ゲーにありがちな、「遊び場は作ったから適当に楽しめ」ってスタンスよりも1024倍くらい親切である。

 

ゲーム性的な特徴は3人パーティーを組んで戦うという部分。
3名は「剣士タイプの主人公」と「支援魔法タイプの青娘」と「攻撃魔法タイプの紫娘」という内訳だが、冒険中は操作するキャラをリアルタイムに変更できる。
その際、プレイヤーが操らない残りの2名はCPUが動かす形になる。

CPUへの指示は立ち位置の指示と、MPを消費する魔法の使い方の指示が可能で、その範囲内で勝手に動く。
CPUの動きは、「私が操作するよりはうまいレベル」で、敵の攻撃の回避以外は全く問題ない水準である。

また、直接操作するキャラに関しても、ジャンプと攻撃と言った短調なものではなく、移動入力を併用したかなり複雑なアクションが可能になっている。

主人公を例にすると、
攻撃ボタン  : 横斬り
→+攻撃ボタン: なぎ払い
↑+攻撃ボタン: 斬り上げ(対空)
↓+攻撃ボタン: 前突き
←+攻撃ボタン: 背面突き
↓→     : 前ローリング
↓←     : 後ローリング
→↑+攻撃ボタン:跳び蹴り
↑      : ガード
と、いきなり使いこなすのが困難な程、動きが多彩である。
他にもダッシュ中に↓入力でスライディングとか、基本的に、出来そうな行動はだいたいできる。

こういった、多彩な攻撃アクションを駆使して、敵を倒しながら、横ビューアクションのアドベンチャー的な部分を楽しむというスタンスのゲームだ。
なお、レベルや装備の要素はあるが、極端なインプルーブメントはない。強さは結構変わるが、意図的にガリガリ稼がなくては先に進めないというバランスではなく、素直に進めながら、装備を更新していれば問題なくクリアできるというバランスの取り方である。

 



■露骨によいゲーム
Steamでの20ドル級のゲームの場合、どうしても「一線を越えられなかった低価格ゲーム」という感じがつきまとうのだが、このゲームは、40〜50ドルの内容が確実にある「完成度の高いゲーム」である。

 

日本語版の3600円でもアリだと思うが、Steam版なら発売サービスの15ドルで購入できるので、明らかにお得な水準。
英語版なのが難だが、英語も中高生レベルの英語ができれば読める程度に簡単なので、英語に慣れ親しむつもりでの英語版も十分にありである。

ファルコムのサイドビューアクションゲーム「風の伝説」「ポップルメイル」あたりが好きだった人には、100%期待を裏切らないゲームなので、是非プレイして欲しい。
「ふんぎりがつかねえな!」って人は、デモ版が製品版のプロローグそのもので、冒頭の2時間くらいをまんまプレイできるのでそれもあり。セーブデータは引き継げるので、気に入った場合の無駄もゼロである。