Kingdoms of Amalur: Reckoning 初見の感想

おま国タイトル(=お前の国が気に入らないから売ってやらないタイトル)なので、Yuplayで買おうと思っていたのだが、なぜかクレカ認証がうまく通らないので、Steam版で購入。
ただし、購入時にロシアに住んでいないと、ロシア版は購入できないので注意。

   



■システム周りの仕様について
・言語仕様、起動まで
言語はロシア語を除く、欧州主要5言語というよくある形式。Steamロシア版も内部製品名は他と同一なので、変に区別されずすべて選択可能。
ただし、日本からの接続の場合、Steam上は「未リリース」なのでプレイできない。購入した国や発売済みの国でプレイする必要がある。
一度、起動させてしまえば、あとはappidを作ってのexe直叩きで普通にプレイ可能。

起動後は、EAのアカウントを作ってそこに(ゲーム上で)ログインする必要があるが、既に他のゲームなどでEAアカウントがある場合は、それをそのまま利用することができる。

・グラフィック設定
グラフィック設定はすべての項目を最高にして、1920x1080で表示しても60fpsに張り付く程軽い。
UI的な重さ(操作ラグ)もないので、非常に軽快にヌルヌル動く。
反面、グラフィックの質は5年ほどの前の質と大差ないが、アクションゲームとしての側面もあるゲームなので、この方向性の取り方は間違っていないと思う。

・キャラメイク
このゲームは、元々、MMOとして作られていたタイトルを商算の見込みなしと思ったのか、シングルプレイタイトルに舵を切り直したRPG
それ故に見た目の印象やUI、クエストシステムなんかはMMOを彷彿とさせるスタイルになっている。
つまり、ゾーン制のマップ+クエストドリブンのゲーム展開という形だ。

プレイヤーキャラはアジア系、欧州系、ダークエルフ系2種の合計4種から種族を選択できる。それぞれの種族毎に多少ボーナスが付くようだが、XPファーム可能なシングルプレイRPGなので、見た目で選べばよい感じ。
性別は男女とも選択可能で、顔のベースタイプ、髪型、髪や眉の色程度のカスタマイズはできる。現在の視点で考えるとかなり簡略化されたスタイルで、この辺についても非常にMMO-RPG的と言える。

 

・アクション要素
リードUIは360パッドで、PC版であってもパッドでのプレイが最も適している。
「好みじゃないのか?」って話も出てくるだろうが、
戦闘で使うボタンの数と操作を考えると、キーボード+マウスでは無理が出てくるので、360パッドを使う方がより楽しめると断定できる。

 

その戦闘アクションは、武器をふたつ登録しておくことが出来、そのふたつの武器を組み合わせて闘うことが出来る。
それぞれ攻撃ボタンを押すと「武器を持ち替えて攻撃」というアクションになるので、遠距離では弓を撃ち、敵が近づいてきたら、横っ飛びで一旦避けた後、剣で斬りつけるなどの操作もスムーズに行える。(キーボードでは攻撃方向の入力がASDWのデジタル4方向でしか指定できないのでうまく行えない)

武器攻撃は、ボタンを押すタイミングと長押しを組み合わせることで、少しだけ、攻撃にバリエーションを増すことが出来ている。
ヒットストップがどうだと言う話が出ていたが、画面が止まるような大げさな物ではなく、私の視点では「適度に当たっている感じが出てよい」というレベル。またスーパーアーマーではなく、攻撃中にダメージを受ければ攻撃が中断されるのも、Skyrimなどと較べれば(較べるのが失礼なほど)良いデキである。

武器の他にスキルを使うことも出来る。
スキルには、魔法や特別な攻撃など、「強力だけどMPを消費する攻撃」がメインになる。
MPは時間で回復するので、開戦後の「敵の数を減らす段階」ではドンドン使っていく様なプレイスタイルが望まれる。
ちなみに、HPは時間での回復がないので、回復はポーションを飲む形になる。
ポーションは比較的頻繁に入手でき、いつでも飲める上に回復量も十分な優れもの。即死さえしなければ、ポーションを飲むだけで命を繋げられるタフガイ仕様である。

 

その他、主となるのは「ガード」と「回避」がある。どちらも敵の攻撃に対して防御的に使う物だが、役割がかなり異なる。
ガードはよく見かける完全ガードではなく、一定量のダメージを軽減するタイプ。この為、非常に強力な攻撃に対しては「減らしてもなお痛い」という形になる。
回避もよく見かける回避中無敵というものではなく、回避中でも攻撃が当たれば普通に痛い。
ある程度はダメージを受けてしまうガードよりも、敵と距離をとりつつ攻撃を避けられる回避のが強いが、ガードは盾や装備の性能にも依存するので、最終的にはガードでなければ保たないというレベルになるかもしれない。

戦闘の展開は、敵が2体程度までならボタンを連続して押す能力があるなら楽勝。
ただし、同時に4〜5体の敵を相手にする場合は、フリーになっている敵にどつかれ、そこからハメられる形で連続して攻撃を食らってしまうので、位置取りやガード、回避を含めたプレイが必要になる。
ちなみに難易度は、ハードがアクションゲームとして見た場合のノーマル相当なので、「ボタンをバシバシ押してポーション飲んでれば勝てるゲーム」で満足出来ない場合は、是非ともハードでのプレイを推奨する。

・育成要素
レベルが上がると、アビリティ(生産や鍵開けなどのサブスキルみたいなもの)とスキルにそれぞれポイントを割り振る形でキャラ強化を行える。
基本的な概念として、「戦士系」「盗賊系」「メイジ系」に明確に分かれているので、分かりやすさとバリエーションのバランスを考えると、なかなか良いシステムである。

なお、装備にもこれら3クラスの要素があり、装備条件が「盗賊系スキル合計3以上」と言った形式になっている。
この為、すべてのクラスをまんべんなく伸ばして行くようなスタイルだと、どこかで限界にぶち当たる可能性がある。
ただ、こういった手探りのでキャラ育成感もRPGにおけるおもしろさのひとつなので、これはこれでいい。
(どんなスキルを取っても同程度に強くなるなら、選択に悩む価値がない)

STRやDEXといった、しょうもないパラメータを廃して、パーク中心のキャラビルドに振っている点は、Skyrimとも共通だが、このゲームの場合、「戦闘に関係のないアビリティ」と「戦闘でしか使わないスキル」にカテゴリーが分かれている(それぞれ別のポイントで上昇させる)。
この為、便利系スキルを取るとキャラが強くならないと言ったジレンマからも解放されてよい。

装備によるキャラクターの強化は、まだ序盤なので明確には見えてこないが、「かなりありそう」に思える。
現時点でもショボイ武器と、色の付いた武器では2〜3倍くらい強さが違うので、このペースのままインフレが進んで行けば装備ゲーになる可能性が高い。
装備のドロップはハック&スラッシュゲームなみにするので、ゲーム性を考えると、「正直うざいほど拾える」レベル。今の物より強い装備を手に入れたので、装備し直したら、ろくに活用する前に、さらに強い奴を拾うなんてことも起こる。
装備変更のUIは悪くはないが、練り込みが足らない。LRボタンを使って装備位置の輪転が出来ないなどやや惜しい。

・アドベンチャー要素(RPG要素)
ストーリー展開は、海外RPGではおなじみとなった「主人公は特別な存在」系なので、かなりマンネリを感じる。
これも含めて、すべての要素が米産ファンタジーの文法なので、「これじゃない感」がない反面、「あー、そういう展開どっかで見たことあるね」みたいなものが多い。

また、ストーリーラインが結構、ダーク&シリアスである反面、グラフィックのテイストがウォークラフトをパクったデフォルメ調の見た目なので違和感も大きい。
(と言うかダークファンタジーにはとても感じられなくなる)

エストについても、マーカーに従って目的に行くだけのものが大半なので、特別おもしろみがあるわけではない。

この様にストーリーやアドベンチャーという側面から見ると、このゲームは何の考えもなく売れ線を踏襲した駄作だと言える。
※それを望んでいる人が多いから「売れ線」でもあるので、難しい所ではあるが。

 



■要約としての感想
気付いた点を長々と列記したが、読み飛ばした人の為にまとめておくと、「アクションRPGとしては(難易度ハードなら)おもしろい」ただし、「ストーリーやキャラ、クエストのおもしろさはせいぜい並」というゲーム。

個人的に問題だと感じるのは、アクション展開が主の合間に入る会話シーン。
DragonAgeやMassEffectでおなじみのシステムを中途半端に取り入れているので、中途半端に会話が長くなるし、たいしたことは話さないので、読み飛ばすようになってしまい、弊害しか残らない。
世界観を楽しみたいという人には「そんなことねえよ、おもしろいだろ!」って感じるかも知れないが、少なくとも私の主観ではそうである。

ちなみに英語の質は、「特別難しくはないが、なんだか読みづらい」というもの。
Skyrimがぶっちぎりに簡単なレベルだったのでアレよりは難しく、DragonAge2と同じくらいという実感を持っている。
(もちろんクエストを進めるだけでいいなら、クエストログを読むだけなのでかなり簡単)



■プレイする価値はあるのか
このゲームは、特別な存在のゲームではないが、つまらないゲームという訳でもない。
感覚としては、DungeonSiege 3やAlice MRみたいなカテゴリーのゲームである。

 

なお、見た目こそMMOスタイルだが、「POP管理しながらキャンプして、永遠狩り続けるおもしろさ」はこのゲームにはないので、プレイテイストはそれよりもずっと、普通のシングルRPGに近い。
マイペースで遊べるMMOを期待するよりも、クエストが豊富なハックアンドスラッシュRPGという見方をした方が、より実像に近いはずだ。

標準価格の50ドルは「発売価格としては適切」なので、是非プレイしてみたいと言う人が思いとどまるべきタイトルではない。
30ドル程度まで下がれば「お買い得な中堅作」として、ちょっと興味がある程度の人でも満足できるだろう。