Saints Row 3rd: まじめなアホゲー

Saints Row 3 がリリースされたので直前に予約して購入。

不思議と縁がなく、このシリーズはこれがはじめてなのだが、事前の評判は上々だし、自分で調べてみてもおもしろそうに見えた。

そして、実際におもしろい。

 



Saints Row 3 について
・ゲームスタイル
このゲームはオープンフィールド(オープンシティ)型のクライムアクションゲームだ。この為、有名なゲームの中ではGTA4に一番近い。
ただしテイストは「おもしろさ至上主義」なので、シリアスタッチなGTA4と比べると1000倍くらいアホだ。
これはゲーム内のアクションやミッション内容、セリフ回しなどでふんだんに楽しむことが出来る。私はどちらかというとシリアス路線の方が好みなのだが、このゲームのアホさは、「下品さを出している様でいて、実は知的」なので悪くないと感じる。

コメディーのタッチとしては、No One Lives Foreverが近く、キャラクターの掛け合い重視で、戦闘に関してはかなりデフォルメが効いた調子である。

・ゲームシステム
ゲームは基本的にはサードパーソンシューティングだが、格闘アクションにも力が入っており、接近戦なら格闘も十分に強い。
だいたい、近距離からのショットガン1発とパンチ1発が同じくらいの強さだ。

それとは別に、乗り物に乗ってのライドシューター(例えば、ヘリのドアから敵のヘリを攻撃して仲間を守る)や、ドライブアクション(乗車しての移動だが銃が撃てる)も取り入れられている。
それぞれの作り込みに関しては、「少しずつもの足りない感」はあるのだが、質よりもバリエーションを追求しているのだから、仕方がない。

 

シューティングはキチンと狙った所に弾が飛ぶように出来ており、当たっている場合にはヒットマークが出るので、当てている感は十分にある。
ただし、銃の威力は(初期状態では)結構低いレベルにあり、ヘッドショットでも即死させられない事がある(敵による)。
サードパーソンアクションのテイストは、ゲームゲームしたもので、既存のものではFreedomFightersが最も近い。

シングルプレイの進行は、ミッション制フリーローミングの方式。
つまり、街中を自由に行動しながら、気が向いたらメインやサブのミッションを進めるという形式。
ミッションによりやや制限があるが、仲間をひとりスマートフォンで呼び出して連れ歩くことも出来る(たぶん、レベルが上がると人数が増える)。

・キャラメイク
キャラメイクは比較的融通が利く。
顔の形に関しては、時間さえ掛ければかなり満足のいくものができあがるはずだ。
アパレルは初期状態ではほとんど選べないが、ゲーム中で入手することで、可能な着替えが増えていく。

英語版ではすっぽんぽんも可能で、この場合は、バストと股間と尻に3Dモザイクが掛かる。隠れている部分が作り込まれているわけでもないので、妄想力を発揮できるこの仕様で正解だろう。
ちなみにコンソールの日本語版はすっぽんぽんは無理との話だ。

 

・ストーリー
セインツというギャング集団が罠にはめられて(ほとんど)すべてを失う所からスタート。ただ集団とは言え、序盤から仲間がぞろぞろ出てくる訳ではなく、数名のこじんまりとしたグループ(サークル的な)の雰囲気だ。
そこから再び、ライバルを蹴落として成り上がっていくような展開になるのだろう。

英語は聞き取りやすいが、難しい部類。ダイアログの一時停止もできないので、どうしても雰囲気プレイになる。
ただし、ミッションログはしっかりしており、オブジェクティブは分かりやすいので、ゲームを進めるという観点では、中学生レベルの文法が理解できれば問題なさそうだ。



■環境周り
・グラフィック
このゲームのグラフィックはシェーダーハイな作りで、ややチープなベースを無理矢理きらびやかに演出しているような感じ。
この為、オプション設定を最高にしても、そこまですごいグラフィックには感じない。

描画の重さはかなり独特。
30fpsをキープする程度なら、オプションを最高でx8 MSAAを掛けてもOKだが、60fpsをキープさせようと思ったら、オプション最低でも無理で、解像度を下げるなどの調整が必要になる。(Core2Quad@4Ghz、6GB RAM、HD6970)

ゲームプレイ的には30fpsでも問題はないのだが、動きのキレがおもしろさに直結するアクションゲームなので、可能な限りフレームレートは欲しい。

・BGM、サウンド、ボイス
BGMは車に乗っている時はラジオやカセットテープで音楽を流すことが出来る、まあよくあるシステム。選曲のセンスはよくも悪くもないが、ジャンル毎に選べるようになっていたり、曲単位で再生するプレイリストを編集できたりと、機能面での不満はない。
ただ、ビットレートは音楽を楽しむ目的としては、やや低く感じる。

サウンドについては並で、特別不満はないが、適当に作られている感はある。
ボイスは(英語ボイスに関しては)完璧なデキで、どのキャラをとっても声優の演技は極めてうまいレベル。

・操作系
360マルチのゲームなので360パッドには完全対応している。
ゲーム中の操作説明は、その時操作しているデバイスを検知して、自動的に切り替わる為なかなか気が利いている。

サードパーソンシューティングのシーンは、やはり、ダイレクトに狙いを付けられるキーボード+マウスの方が断然、操作性がよい。
しかし、クルマの運転などは、アナログスティックを活用できるパッド側にアドバンテージがある。

この為、乗り物時はパッド、シューター時はマウスとデバイスを持ち替えるのが一番しっくりくる。
それが面倒な場合は、どこかで妥協する必要がでてくる。

キーアサインは一応できるが、アクションの数が多く、キーかぶりが必然的に発生するのに、かぶりが認められない設定などがあり、ややおかしい。
(同時に行わえないようなアクションでも、同じキーを振れない事がある)

 



■興味がある程度の人が買っても十分楽しめる
分析的に要素をまとめると、マイナス点が目立ってしまうが、ゲーム自体は非常におもしろい。特に自分でキャラを作って楽しめるという部分が、それを一層引き立たせている。
展開も、冒頭から銀行強盗だし、ライドシューターだし、空中戦だしで、エンターテイメント作として非常にうまいつくりだ。

  

アホゲーなのでどうしても芸術点は下がってしまうが、万人向けの良作タイトルの中でもよい部類に入るのは間違いない。
発売時の価格50ドルは、セールが当たり前となっている状況での相場観を考えると、やや高い印象があるが、40ドル程度なら適切なレベル。20ドル以下に下がればお得な水準のゲームだと思う。

現在、ロシア版が国際リテイル品扱いで、(日本語をのぞく)主要各言語がすべて入っていて500ルーブルと最安。DLCが付いているものでも700ルーブルなので、発売時からいきなりセール価格といった感じだ。
ただし、公式なリージョンは旧ソ連地域だし、ロシア語での決済が必要になるので、ロシア語が読めない場合は利用しない方がよい。