Kingdoms of Amalur: Reckoning 初見の感想

おま国タイトル(=お前の国が気に入らないから売ってやらないタイトル)なので、Yuplayで買おうと思っていたのだが、なぜかクレカ認証がうまく通らないので、Steam版で購入。
ただし、購入時にロシアに住んでいないと、ロシア版は購入できないので注意。

   



■システム周りの仕様について
・言語仕様、起動まで
言語はロシア語を除く、欧州主要5言語というよくある形式。Steamロシア版も内部製品名は他と同一なので、変に区別されずすべて選択可能。
ただし、日本からの接続の場合、Steam上は「未リリース」なのでプレイできない。購入した国や発売済みの国でプレイする必要がある。
一度、起動させてしまえば、あとはappidを作ってのexe直叩きで普通にプレイ可能。

起動後は、EAのアカウントを作ってそこに(ゲーム上で)ログインする必要があるが、既に他のゲームなどでEAアカウントがある場合は、それをそのまま利用することができる。

・グラフィック設定
グラフィック設定はすべての項目を最高にして、1920x1080で表示しても60fpsに張り付く程軽い。
UI的な重さ(操作ラグ)もないので、非常に軽快にヌルヌル動く。
反面、グラフィックの質は5年ほどの前の質と大差ないが、アクションゲームとしての側面もあるゲームなので、この方向性の取り方は間違っていないと思う。

・キャラメイク
このゲームは、元々、MMOとして作られていたタイトルを商算の見込みなしと思ったのか、シングルプレイタイトルに舵を切り直したRPG
それ故に見た目の印象やUI、クエストシステムなんかはMMOを彷彿とさせるスタイルになっている。
つまり、ゾーン制のマップ+クエストドリブンのゲーム展開という形だ。

プレイヤーキャラはアジア系、欧州系、ダークエルフ系2種の合計4種から種族を選択できる。それぞれの種族毎に多少ボーナスが付くようだが、XPファーム可能なシングルプレイRPGなので、見た目で選べばよい感じ。
性別は男女とも選択可能で、顔のベースタイプ、髪型、髪や眉の色程度のカスタマイズはできる。現在の視点で考えるとかなり簡略化されたスタイルで、この辺についても非常にMMO-RPG的と言える。

 

・アクション要素
リードUIは360パッドで、PC版であってもパッドでのプレイが最も適している。
「好みじゃないのか?」って話も出てくるだろうが、
戦闘で使うボタンの数と操作を考えると、キーボード+マウスでは無理が出てくるので、360パッドを使う方がより楽しめると断定できる。

 

その戦闘アクションは、武器をふたつ登録しておくことが出来、そのふたつの武器を組み合わせて闘うことが出来る。
それぞれ攻撃ボタンを押すと「武器を持ち替えて攻撃」というアクションになるので、遠距離では弓を撃ち、敵が近づいてきたら、横っ飛びで一旦避けた後、剣で斬りつけるなどの操作もスムーズに行える。(キーボードでは攻撃方向の入力がASDWのデジタル4方向でしか指定できないのでうまく行えない)

武器攻撃は、ボタンを押すタイミングと長押しを組み合わせることで、少しだけ、攻撃にバリエーションを増すことが出来ている。
ヒットストップがどうだと言う話が出ていたが、画面が止まるような大げさな物ではなく、私の視点では「適度に当たっている感じが出てよい」というレベル。またスーパーアーマーではなく、攻撃中にダメージを受ければ攻撃が中断されるのも、Skyrimなどと較べれば(較べるのが失礼なほど)良いデキである。

武器の他にスキルを使うことも出来る。
スキルには、魔法や特別な攻撃など、「強力だけどMPを消費する攻撃」がメインになる。
MPは時間で回復するので、開戦後の「敵の数を減らす段階」ではドンドン使っていく様なプレイスタイルが望まれる。
ちなみに、HPは時間での回復がないので、回復はポーションを飲む形になる。
ポーションは比較的頻繁に入手でき、いつでも飲める上に回復量も十分な優れもの。即死さえしなければ、ポーションを飲むだけで命を繋げられるタフガイ仕様である。

 

その他、主となるのは「ガード」と「回避」がある。どちらも敵の攻撃に対して防御的に使う物だが、役割がかなり異なる。
ガードはよく見かける完全ガードではなく、一定量のダメージを軽減するタイプ。この為、非常に強力な攻撃に対しては「減らしてもなお痛い」という形になる。
回避もよく見かける回避中無敵というものではなく、回避中でも攻撃が当たれば普通に痛い。
ある程度はダメージを受けてしまうガードよりも、敵と距離をとりつつ攻撃を避けられる回避のが強いが、ガードは盾や装備の性能にも依存するので、最終的にはガードでなければ保たないというレベルになるかもしれない。

戦闘の展開は、敵が2体程度までならボタンを連続して押す能力があるなら楽勝。
ただし、同時に4〜5体の敵を相手にする場合は、フリーになっている敵にどつかれ、そこからハメられる形で連続して攻撃を食らってしまうので、位置取りやガード、回避を含めたプレイが必要になる。
ちなみに難易度は、ハードがアクションゲームとして見た場合のノーマル相当なので、「ボタンをバシバシ押してポーション飲んでれば勝てるゲーム」で満足出来ない場合は、是非ともハードでのプレイを推奨する。

・育成要素
レベルが上がると、アビリティ(生産や鍵開けなどのサブスキルみたいなもの)とスキルにそれぞれポイントを割り振る形でキャラ強化を行える。
基本的な概念として、「戦士系」「盗賊系」「メイジ系」に明確に分かれているので、分かりやすさとバリエーションのバランスを考えると、なかなか良いシステムである。

なお、装備にもこれら3クラスの要素があり、装備条件が「盗賊系スキル合計3以上」と言った形式になっている。
この為、すべてのクラスをまんべんなく伸ばして行くようなスタイルだと、どこかで限界にぶち当たる可能性がある。
ただ、こういった手探りのでキャラ育成感もRPGにおけるおもしろさのひとつなので、これはこれでいい。
(どんなスキルを取っても同程度に強くなるなら、選択に悩む価値がない)

STRやDEXといった、しょうもないパラメータを廃して、パーク中心のキャラビルドに振っている点は、Skyrimとも共通だが、このゲームの場合、「戦闘に関係のないアビリティ」と「戦闘でしか使わないスキル」にカテゴリーが分かれている(それぞれ別のポイントで上昇させる)。
この為、便利系スキルを取るとキャラが強くならないと言ったジレンマからも解放されてよい。

装備によるキャラクターの強化は、まだ序盤なので明確には見えてこないが、「かなりありそう」に思える。
現時点でもショボイ武器と、色の付いた武器では2〜3倍くらい強さが違うので、このペースのままインフレが進んで行けば装備ゲーになる可能性が高い。
装備のドロップはハック&スラッシュゲームなみにするので、ゲーム性を考えると、「正直うざいほど拾える」レベル。今の物より強い装備を手に入れたので、装備し直したら、ろくに活用する前に、さらに強い奴を拾うなんてことも起こる。
装備変更のUIは悪くはないが、練り込みが足らない。LRボタンを使って装備位置の輪転が出来ないなどやや惜しい。

・アドベンチャー要素(RPG要素)
ストーリー展開は、海外RPGではおなじみとなった「主人公は特別な存在」系なので、かなりマンネリを感じる。
これも含めて、すべての要素が米産ファンタジーの文法なので、「これじゃない感」がない反面、「あー、そういう展開どっかで見たことあるね」みたいなものが多い。

また、ストーリーラインが結構、ダーク&シリアスである反面、グラフィックのテイストがウォークラフトをパクったデフォルメ調の見た目なので違和感も大きい。
(と言うかダークファンタジーにはとても感じられなくなる)

エストについても、マーカーに従って目的に行くだけのものが大半なので、特別おもしろみがあるわけではない。

この様にストーリーやアドベンチャーという側面から見ると、このゲームは何の考えもなく売れ線を踏襲した駄作だと言える。
※それを望んでいる人が多いから「売れ線」でもあるので、難しい所ではあるが。

 



■要約としての感想
気付いた点を長々と列記したが、読み飛ばした人の為にまとめておくと、「アクションRPGとしては(難易度ハードなら)おもしろい」ただし、「ストーリーやキャラ、クエストのおもしろさはせいぜい並」というゲーム。

個人的に問題だと感じるのは、アクション展開が主の合間に入る会話シーン。
DragonAgeやMassEffectでおなじみのシステムを中途半端に取り入れているので、中途半端に会話が長くなるし、たいしたことは話さないので、読み飛ばすようになってしまい、弊害しか残らない。
世界観を楽しみたいという人には「そんなことねえよ、おもしろいだろ!」って感じるかも知れないが、少なくとも私の主観ではそうである。

ちなみに英語の質は、「特別難しくはないが、なんだか読みづらい」というもの。
Skyrimがぶっちぎりに簡単なレベルだったのでアレよりは難しく、DragonAge2と同じくらいという実感を持っている。
(もちろんクエストを進めるだけでいいなら、クエストログを読むだけなのでかなり簡単)



■プレイする価値はあるのか
このゲームは、特別な存在のゲームではないが、つまらないゲームという訳でもない。
感覚としては、DungeonSiege 3やAlice MRみたいなカテゴリーのゲームである。

 

なお、見た目こそMMOスタイルだが、「POP管理しながらキャンプして、永遠狩り続けるおもしろさ」はこのゲームにはないので、プレイテイストはそれよりもずっと、普通のシングルRPGに近い。
マイペースで遊べるMMOを期待するよりも、クエストが豊富なハックアンドスラッシュRPGという見方をした方が、より実像に近いはずだ。

標準価格の50ドルは「発売価格としては適切」なので、是非プレイしてみたいと言う人が思いとどまるべきタイトルではない。
30ドル程度まで下がれば「お買い得な中堅作」として、ちょっと興味がある程度の人でも満足できるだろう。

Fortune Summoners: サイドビューアクションの傑作

横ビュー全方向アクションというジャンルがある。
例を示すとグーニーズとかコントラとかソーサリアンとか、ちょっと古めのアクションゲームでよく採用されていたシステムだ。

Steamの新作にいきなり現れた「Fortune Summoners」も同ジャンルで、早速購入してみたので、テイストなどをお伝えしたい。

   



■ゲームの言語バージョンについて
動画を見れば分かると思うが、このゲームは日本の同人ソフトの英語ローカライズ版だ。

Steamのショップページを見ると「日本語」の文字も書かれているが、純粋に英語版で日本語リソースは存在しないので日本語表示は無理である。一応、音声のみ日本語という体裁なのだが、セリフをしゃべってくれるわけではなく、かけ声のみの音声なので、「英語字幕+日本語音声」という訳でもない。
一応確認してみたが、デモ版から持ってくるのも無理だし、日本語パッチをダウンロードする事もできない(プロダクトID管理でのDL形態)。
なので日本語で遊びたい場合は、日本語版を購入した方がずっといい。

(直接リンクは張らないが)
ベクターなどで3600円くらいでDL版が売られている。
また、パッケージ版として、音声をフルボイスにして、追加コンテンツを加えたものが6800円で売られているので、豪華な方がいいって人は、amazonで探すと購入できる。
特に豪華版の声優は(うまいかどうかは別として)本当に有名な声優を使っている。

 



■ゲーム内容
ゲーム内容は少しだけ育成要素のある、横ビューファンタジーアクションゲームである。
大まかに、会話で話を進めるパートと、パーティーを組んで敵を倒しながら進行するパートに分かれている。
会話部分は必要な会話を全部行わないと次に進めないようになっているので、「大切な話を聞き漏らす危険性」はないのだが、ややフラグ的な挙動なので、「とにかく、とっとと敵を倒させろ!」って指向がある場合は面倒に感じるはず。

ただ、この会話パートは相当よく出来ていて、主人公や他のキャラクターがどういう人物で、なんで敵と戦うのかあたりの動機付けはかなり自然に行われる。
こういう部分は洋ゲーにありがちな、「遊び場は作ったから適当に楽しめ」ってスタンスよりも1024倍くらい親切である。

 

ゲーム性的な特徴は3人パーティーを組んで戦うという部分。
3名は「剣士タイプの主人公」と「支援魔法タイプの青娘」と「攻撃魔法タイプの紫娘」という内訳だが、冒険中は操作するキャラをリアルタイムに変更できる。
その際、プレイヤーが操らない残りの2名はCPUが動かす形になる。

CPUへの指示は立ち位置の指示と、MPを消費する魔法の使い方の指示が可能で、その範囲内で勝手に動く。
CPUの動きは、「私が操作するよりはうまいレベル」で、敵の攻撃の回避以外は全く問題ない水準である。

また、直接操作するキャラに関しても、ジャンプと攻撃と言った短調なものではなく、移動入力を併用したかなり複雑なアクションが可能になっている。

主人公を例にすると、
攻撃ボタン  : 横斬り
→+攻撃ボタン: なぎ払い
↑+攻撃ボタン: 斬り上げ(対空)
↓+攻撃ボタン: 前突き
←+攻撃ボタン: 背面突き
↓→     : 前ローリング
↓←     : 後ローリング
→↑+攻撃ボタン:跳び蹴り
↑      : ガード
と、いきなり使いこなすのが困難な程、動きが多彩である。
他にもダッシュ中に↓入力でスライディングとか、基本的に、出来そうな行動はだいたいできる。

こういった、多彩な攻撃アクションを駆使して、敵を倒しながら、横ビューアクションのアドベンチャー的な部分を楽しむというスタンスのゲームだ。
なお、レベルや装備の要素はあるが、極端なインプルーブメントはない。強さは結構変わるが、意図的にガリガリ稼がなくては先に進めないというバランスではなく、素直に進めながら、装備を更新していれば問題なくクリアできるというバランスの取り方である。

 



■露骨によいゲーム
Steamでの20ドル級のゲームの場合、どうしても「一線を越えられなかった低価格ゲーム」という感じがつきまとうのだが、このゲームは、40〜50ドルの内容が確実にある「完成度の高いゲーム」である。

 

日本語版の3600円でもアリだと思うが、Steam版なら発売サービスの15ドルで購入できるので、明らかにお得な水準。
英語版なのが難だが、英語も中高生レベルの英語ができれば読める程度に簡単なので、英語に慣れ親しむつもりでの英語版も十分にありである。

ファルコムのサイドビューアクションゲーム「風の伝説」「ポップルメイル」あたりが好きだった人には、100%期待を裏切らないゲームなので、是非プレイして欲しい。
「ふんぎりがつかねえな!」って人は、デモ版が製品版のプロローグそのもので、冒頭の2時間くらいをまんまプレイできるのでそれもあり。セーブデータは引き継げるので、気に入った場合の無駄もゼロである。

Oil Rush : ウォーターワールドRTS

ロシア産のゲームは色が濃い。
海洋RTSのオイルラッシュでもその傾向は顕著で、ビビットなトーンのスクリーンショットを見ていると「おもしろそうなゲーム」に見える。

そうすると、本当におもしろいのかって話になる。
と言うことで、(現時点の)日本語で読める最も詳しいレビューをしちゃう。

 
 驚くべき事に、ほとんどの操作は右下のミニマップで行う



■拠点ベースのRTS
オイルラッシュの特徴は、マップの構成単位が拠点になっている点だ。

ユニットの移動を拠点単位で行う為、「拠点Aにいるユニットの50%を拠点Bに対して移動させる」の様な感じで指示を出す。
個別のユニットを任意に選択することはできないが、移動させるユニットの種類と、移動させるユニットの数を25%、50%、100%で指定できる為、思ったより細かな指示をだせる。

例えば、プレーン4機、スクーター9台、シップ2両の拠点から移動させる際、
そのまま「50%」を指定すれば、「プレーン2機、スクーター5台、シップ1両」が移動対象として選択される。
代わりに、「スクーターとシップの50%」を指定すれば、「スクーター5台とシップ1両」を選択できるという具合。

生産したユニットを集めて、敵の拠点に向かって移動させ、敵ユニットを殲滅して拠点を奪うというのが、ゲームの基本的な流れだ。

《拠点の種類》
拠点には大まかに4つのタイプがあり、それぞれ、敵を排除した状態で味方のユニットが10秒ほど留まると占領できる。

・生産施設
 占領することでユニットの生産を自動的に行う拠点。
 生産するユニットは拠点の種類によって異なる。
 それぞれの拠点毎にユニット上限(POP CAP)が決められている。
 つまり、ここを占領することでユニット数を多くできる。
 タワーを設置して防御を高めることが出来る。

・油田
 占領することで原油を得ることのできる拠点。
 原油はタワーの建設とスキルの使用に用いられる。
 油田にタワーを設置することはできない。

・貯蔵タンク
 一度に貯めておける原油の量を多くする拠点。
 貯蔵した状態で敵に占領されると、中身も奪われる。
 貯蔵タンクにタワーを設置することは出来ない。

・要塞
 親となる別の拠点に紐付いている小拠点。
 親拠点を占領すると自動的に占領扱いとなる。
 タワーがあらかじめ設置されており、射程に入った敵ユニットを自動攻撃する。

一般的なRTSにない個性としては、戦闘ユニットの生産が自動化されている点だろう。
これによって、「操作量の不足からくるユニット生産の遅滞」という心配がなくなる。
また、ユニットの生産そのものには、(直接)リソースを消費しないのでリソースマネージメントの概念からも解放される。
すなわち、「強大な軍を作る為には、より多くの生産施設を占領すればよい」という力強いコンセプトがある。

 



■ユニットの種類と役割
ユニットには生産施設で自動的に生産される「通常ユニット」とスキル(と原油)を使用することで生産される「特別ユニット」に分かれている。

ユニットの持つ属性は「艦艇」と「航空」の2種類で(「タワー」も含めれば3種類)、攻撃手段にも「艦艇のみ」「航空のみ」「どちらにも」の3種類が存在している。
この攻撃手段毎の攻撃力、射撃レートとユニットのもつHPによって相性が決められている。
多くのRTSに採用されているような相性によるダメージボーナスはなく、基本的に同数であれば「強いユニットは、いつ如何なる時も強い」という構造である。
ただし、ユニット毎に生産速度と生産数上限が決められているので、「強力なユニットは数を出しづらい」といった形になる。

《戦闘ユニットの種類》
・スクーター
高速で生産できる艦船ユニット。
弱く脆い。

・ボート
タワーに対してのみ攻撃可能な榴弾攻撃を行える。
戦闘能力はスクーターよりはマシな程度

・シップ
バランスのよい艦船ユニット。
生産枠が基本4と少ないので、どこに投入するかがポイントになる。

・プレーン
スクーターの航空版と言った所だが、対空戦闘能力はヘリより上。

・ヘリ
対地(艦船、タワー)攻撃を重視した航空ユニット。

・潜水艦
スキルによって生産できる最強の艦船だが、シップを僅かに強くした程度。
スキルを習得することで最大3隻まで出せる。

ガンシップ
潜水艦ど同能力だがこちらは航空タイプ。
スキルを習得することで最大3隻まで出せる。



■防御タワーの概念
生産施設の獲得で戦闘ユニットが増えるなら、油田なんて要らないじゃないかと思うだろうが、流石にそれほど安直ではない。
原油を使ったタワーの建設が防御において重要な意味を持つからだ。

防御タワーは生産施設に5つまで建設でき、それぞれ数段階のアップグレードを行うことが出来る。
タワーなので当然移動できないが、敵が攻めてきた場合には、これを攻撃してくれる。
すなわち、防御専用のユニットとして考えることのできる要素だ。

オイルラッシュは、攻撃用の(=移動可能な)ユニットの生産を自動化する代わりに、防御タワーの建設が手動になっており、ゲーム的な意義を高めている。

《タワーの種類》
タワーには攻撃手段に対応した複数の種類がある。
「ひとつの拠点につき5つまで」という枠内でどう建てるかに判断が問われる。
なおアップグレードすることで、攻撃対象が変わったり特性が変化するので注意が必要。

・ガンタワー
機関銃を装備したタワーで、低威力の攻撃を高速で行う。
この為、HPの少なめの多数の敵を相手にする場合により効果的となる。
レベル2から対空能力が付く。

・キャノンタワー
大口径の大砲を装備したタワーで、高威力の攻撃を低速で行う。
終始艦船にしか攻撃できないが、DPSではガンタワーを上回る。
また、射程が長いのも特徴で、レベル1からボートの擲弾攻撃に反撃できる。
レベル3で威力が若干落ちる代わりに、攻撃速度が向上しバランスがよくなる。

・ミサイルタワー
非常に強力な攻撃力を持つミサイルを発射するタワー。
キャノンタワーが艦船特化なら、こちらは航空特化したタワー。
レベル3で威力が大きく向上する。

 
 見た目と操作性を兼ね備えた、なかなかよくできたUIである



■スキルについて
敵を倒すことで経験値を獲得し、一定量たまることでパーク的にスキルを選択して習得できる。
スキルツリーは大まかに3本に分かれているが排他関係ではないので、経験値さえあればすべてのスキルを習得可能(現実にはそれ以前に決着が付く)。

スキルはユニット強化、タワー強化、生産関係(強化、遅滞)、ユニット生産、直接攻撃と多岐にわたる。
ただ、スキルをとる順番で戦略がドラスティックに変化するかと言えばそうでもなく、比較的地味な印象は受ける。



■このゲームの戦略性について
非常にシンプルな構造のゲームであるため、ゲーム性は深くないと誤解しがちだが、運要素が少ないので非常に精緻なゲームであるというのが実際。

《基本戦略》
・開幕〜序盤
6台持っているスクーターを使って、近接する生産拠点を獲得する。
その際、ユニット数上限を効率的に引き上げる為に、スクーター以外を生産する拠点を選ぶ。
ユニット数を増やしながら、だいたい全ユニットをふたつに分けるような形で進行していくのがオススメ。

・〜中盤
敵と同程度の拠点を維持しつつ、オイルの獲得を重視する。

防御がしっかりと整う前は、少数の航空ユニットを用いた奇襲がよい。
これは拠点を攻める場合でも、レベル1タワーの段階では、ミサイルタレットでしか対空攻撃を行えない為。
また、航空攻撃をイメージづけることで、敵のタワー建設をミスリードさせる狙いもある。(ミサイルは艦船に対して全く役に立たない)

・〜終盤
獲得したオイルでタワーを造り、ある程度の防衛力が付いた所で、ユニットを集め、敵の弱い拠点に対して攻撃をしかける。
一般的に、攻勢時には一時的にオイル拠点を見限る必要が出てくる。(むしろ敵ユニットがオイルに向かった時の留守がねらい目)
これを繰り返す事で、敵の拠点をひとつずつ減らしていく。

以上の基本戦略をどう利用し、どう逆手にとるかがこのゲームの対戦の柱となる。
例えば、「ミサイルタレットを設置しない代わりに、航空生産施設を艦船ユニットで抑えきって航空ユニットを出させない」など、拠点確保による行動制限も生きてくる。



■まとめ
見た目の印象だけは大作級なのだが、内容は比較的シンプルで、定価に設定されている20ドル級といったゲーム。
ただし、現在の感覚で見て「まともに楽しめるRTS」でありながら「1マッチが10〜20分程度」と言うのは十分にありな選択だと思う。
他に優れたRTSがあるからと言っても、新作の持つ斬新さの魅力は大きいからだ。

なお、マルチプレイクロスプラットフォームと言う話だが、現時点では全く人が居ないのでプレイ環境としてはかなりまずい。
これはマッチングシステムをゲーム側でサポートせずに、旧来の「誰かが干している所に入る」という形式なのが問題だと思っている。

※もしかすると、私の環境による不具合かもしれない。ゲームはいっぱい建ってるよ!って話なら、コメントでもツイッター経由でも教えて欲しい。

Vitaを買うなら先にこっちだろ

ラビリンスの彼方」をプレイしたくて3DSが欲しいなと思った。
ところが発売日にチェックしたらソフト側が売り切れだったので、本体と評判のタイトル「モンスターハンター3G」を購入してみた。

 



■画面サイズや画質について
・解像度について
画質に関して、買う前の印象としては、今までのDSとさほど変わらないと思っていたのだが、実際にはそんなことはなかった。
低解像度であるというマイナスイメージは、PSVitaスマホなどの解像度との比較をしているためであり、従来機との比較の上では、しっかりと高解像度化&大画面化がなされている。

 

上画面の解像度は、左目用、右目用をあわせて横800ドットなので、実際には400x240ではないかという話もある。
しかし、モンハン3Gで試す限りは、「ソフト側の3D設定をON、ハード側の3Dスライダを最低(立体視表示なし)」にすることで、800x240での解像度で描画を行う様になる。
(ソフト側で3D設定をOFFにすると400x240固定になる)
3D描画を行うソフトに関しては、ハード側の機能で800x240に対応すると考えてよいのかもしれない。

ラビリンスの彼方では最大400x240だった。ソフト側の作り方依存っぽい。

立体視について
知っての通り、上画面は立体視に対応している。
立体視は25〜35センチほど画面を離した状態で、真正面に構える必要がある。これ以外の距離、角度では画像が二重に表示されてうまく立体視できない。
雰囲気としては、本などで絵が横に並んでいるアレ(平行法立体視)をハードアシストで行うような感じ。(距離によっても異なるが)ある程度は眼の側でフォーカスをあわせる必要があり、ごく自然に立体になるという感覚ではない。

ただし、正しいポジションで構えた際の立体視は、想像よりも綺麗で、3Dの映画を対応した映画館で見るのに近い形式の立体を楽しめる。
具体的には、奥側へ向かって段階的にレイヤーを重ねたような絵づくりになる。

ゲーム的に意味があるのかと言われると、「あるな」って言うのが正直な所。
奥行き情報が本当に視覚的に伝わるのは、なかなか侮れない。



■ボタンの操作性に関して
3DSから新たに追加されたボタンとして、左親指で操作するスライドパッド(アナログパッド)の存在が大きい。
もちろん同じ指で操作することになる、十字キーとは排他的な関係になる。
しかし、360のコントローラーの用に、キャラ操作をアナログ、メニュー操作を十字キーに振るなどの使い方が可能となる為、効果は大きい。

ボタンの入力感覚はクリック感が少しあるタイプで、個人的にはかなり好み。
ストロークも適切に調整されており、全く問題ない。

一方でスタートボタン、セレクトボタンだけは、下パネルになめらかに隣接する形で配置されており、ボタンとしての出っ張りがない押しにくい形状になっている。
位置、ストローク、スイートスポットのすべてが悪く、この為、これらのボタンを積極活用するようなゲーム設計は事実上不可能になってしまっている。
はっきり言って、右下に独立して配置されている、電源ボタンの方が数倍押しやすいのは問題である(指の届かない位置で堅めなので、誤って押してしまうことはない)。



■ネットワーク機能について
wifiでのインターネット通信に対応している。
私はメルコ(バッファロー)の無線LANを使っているので、AOSSによる接続が行えるのだが、ルーターのソフト側でAOSS探索をかけると、何度行っても正常に接続完了できなかった。
ハード側のスイッチでAOSS探索をかけるとうまく行くので、「どうにもならない」って事はないのだが、やや分かりづらい。

一方で(AOSSなどの)アシスト機能を使わない場合、「初めての経験(ちょっとエッチな響きだ)」かつ「機械に苦手意識がある」人にとって、無線で繋ぐ作業は相当分かりづらい。
何桁ものIDを手動で打ち込まなくてはならないし、そもそも、どこに何を設定したらいいのかも経験として知らないからだ。
この為「分かる人にやってもらう」という解決方法が非常に重要になるだろう。

ネットワークに接続して出来ることは、ゲーム独自のDLC(無料のものが多い)を入手したり、有料のダウンロード専用ゲーム(数百円)を購入したりになる。
オンライン対戦をインターネット経由で行う事は(ゲームにもよるだろうが基本的に)できない。
本体を持ち寄って、しゃべくりながらワイワイ遊べってコンセプトがあるのだろう。実際、ボイチャサポートもなしでのオンラインプレイはマニアックに過ぎると想像できる。



■今後の展開などについて
ソフトが揃わない状態で発売して爆死しかけた3DSであるが、夏のテコ入れ値下げで15000円となった。
金の価値は人によって違うので一概には断定できないが、(実売で)遊びたいソフトとセットで2万円を切る価格と考えてよく、お値打ち感はかなりある。

ソフトラインナップも充実されつつあるし、そろそろ購入の頃合いではないかという印象を持っている。
(だから、買ったんだけど)

気になるのは、「新モデルが出るのではないか」という部分。
安易に予想できるのは、「右スライドパッドやボタンを追加した拡張モデル」あたり。立体視やカメラ機能をしぼった廉価タイプの登場はないと考えている。
スタートボタン、セレクトボタンの問題はあるのだが、拡張スライドパッドがたった1500円で売られている現状を考えると、「いつ出るか分からない新モデルを待つ」という発想はイマイチパッとしないと思われる。

まとめると、「DSっぽいチープな印象」を持っていたのだが、「実際には思ったより品質の高いものだった」というハード。
(2GBとはいえ)必要になるであろうSDカードや、(特になくても充電可能な)充電用クレードルが同梱されているあたりは、任天堂の本気とやさしさを感じる。

King Arthur 2: 流石に発売延期してるが

Jan/11発売予定だったので、前日の10日に予約購入したら、発売当日になって発売が伸びるという「わざとやってるだろ!」ってケースのゲーム。

とは言え、予約特典が「最初のチャプターが遊べる」というものなので、延期に対するファンの憤慨は穏やかだ。
非常に魅力的なゲームなのは事実だが、いくつか注意するべき点もある。

 
 ものすごく精緻になった戦略マップ画面。



■King Arthur 2の問題点
(1)非常に重いゲームである
 戦略画面も、会戦画面も共通して重い。
 特に多くの兵が一画面に表示されるような、やや引いた俯瞰視点(=つまり一番多用する画面だ)で重さがピークに達する。

 「i7 + GTX580 SLI」の様な、ほとんどベストな構成のマシンであっても、30〜40fps程度らしく、私の「Core2Qued (OC 4GHz) + HD6970」の様なまあまあレベルだと、最も重いシーンで15fpsくらいになる。
 (多少劣るものの)似たようなクオリティを持っていたShogun2は、40fpsくらいは楽に出ていたので、純粋に重いと言われても仕方がない。

 ネオコア社もこの点については認識しているが、「24fpsくらい出るなら全く問題ない」とか言っている時点で、大きな改善の見込みは薄そうである。
 なお、ゲーム性的には24fps出るなら本当に問題ないのだが、実際には、(普通の構成のPCでは)24fpsをキープできないので問題である。

 
 会戦シーンの描画は実際に動いていると大変に綺麗。

(2)英文の分量が多いゲームである
 多いだけならTES5のがずっと多いが、このゲームの英文はややこしい言い回しで、一文が長めなので非常に読みづらい。
 その上、クエストはテキストアドベンチャー形式で進むので、「ゲームブックを英文で読める程度の英語力」が望まれる。「私は辞書を引くことなくだいたい意味がとれるレベル」なので、結構ストレスを感じる。

 このゲームも、クエストのログだけを見て、それを追いかけるだけであれば、かなり余裕なのだが、ストーリー性、キャラクター性が色濃い作りである分、それだと相当味気ないプレイになってしまうはずだ。



■King Arthur 2のすごい所
Shogun2を上回る兵士の数。
魔法やマジックアイテムが存在する歴史ファンタジーの世界観。
ドラゴンやドレイク、天使などの飛行ユニットの存在。
エストやサブクエストを通した「決断」で変化するアライメントとストーリー。
魅力的なキャラクターの数々。

など、良い部分はたくさんある。

 
 アートワークのセンスも卓越している。これはローディング画面のもの。

多くの人にとってメインディッシュとなるであろう、会戦シーンについても、前作ほどの大味感が薄くなり、フォーメーションを組んで進軍する意味合いが増加している。
リアリティやダイナミズムも含めたゲーム性では、戦闘中心のRealWarfare2には大きく水をあけられてしまっているが、Shogun2との比較であれば、何ら劣る点のないゲーム性を持っているといってよい。
そしてこれは、おそらく、ほめ言葉として機能するはずだ。



King Arthur 2が魅力溢れるゲームなのは事実で、本来なら皆に勧めたいゲームだ。
しかし、前述した「問題点」がかなり大きいので、「魅力のあるゲームなら、多少不便な所があってもプレイしてみたい」というマニア専用ゲーという認識である。

なお、ローカライズは簡単な構造なので、日本語版も出るだろうと思う。
ただ、英語版との差額が大きいような商売は許したくないので、「そんな値段なら要らない運動」に邁進していきたい。
日本語版も同価格か、さもなければ、日本語化ランゲージDLCの形で、追加20ドルくらいまでの値段が精々であろう。こういうマニアゲーの場合、「後から発売される」日本語版の価値なんて、すっごく低いんだからね。

コメントに対するお返事集

以前やってたブログの掲示板でコメント自由にしてたら、スパムでひどいことになった。
それを踏まえてコメント承認制にしていたのだが、年始以来2週間分もたまってしまった。

返事が遅れてごめんね!

それぞれ個別に返答しているが、似たような意見の人も多分いるだろうから、まとめとして目に付く所にも書いておきたい。
いろんな意見があるのは当然と思ってるので、公式反論的な意図は微塵もない。



■ENBについて
現在の最新版は、0.102で私が過去紹介したものよりバージョンがあがっている。
バージョンが変わった場合の、プロファイルの共通性は、「あるようなないような微妙な感じ」なので、私は毎回作り直して使っている。

その上で毎回感じるのは、「なんか、どっかおかしい」って言うもの。
例えば、髪が明るかったり、水が白かったり、一部の光源が強かったり、ダンジョン内のモクモクがうざかったりだ。
それもあって、眼に対する優しさや、全体的なバランスはバニラの方が上だと思う。

出来れば完璧なものが欲しいってのは、山々なのだが、実際にはそうでもないので妥協して楽しんで欲しい。(そもそもENB自体、未完成だ)

なお、ENB使用中は、「SHIFT + F12」を押す毎に、バニラのレンダーと、ENBのレンダーが切り替わるので、見づらい部分があったら、元に戻してプレイしてみるのもアリだと思う。



■Dungeon Defendersのシングルプレイについて
「クラスバランスが悪い」「COOP前提のゲームである」って部分については、本文で書いたとおりなのだが、「キャラチェンジシステムがあるから、シングルプレイでも十分遊べる」ってコメントを頂いている。

「キャラクターチェンジが可能な事は知っているけど、無視している」
ってのが私の実態で、それに基づいて評価もしている。

これは、シングルプレイの際に「4クラス分をキャラメイクさせる誘導」ならそれもいいのだが、このゲームの場合は、「1キャラ作ってゲームスタート」って形なので、100人中100人がまずどれかのクラスでキャラを作ってゲームを始めると思う。
だから、その時のクラスで攻略ができないバランスであれば、ゲームバランスは悪いと言う話になる。

また、「実はCOOP前提のバランスで、シングルプレイでのキャラクターチェンジは意図されたものなんだ」ってのは、ある程度プレイしてみないと分からない。
そして分かった時点で、当初の「どのクラスで攻略しようかな?」って思惑が崩されてしまうのも、構造論的に不快に感じる。

(分かりやすいので)格ゲーを例に出すと、「自分が選んだキャラでは絶対に勝てない相性のキャラが居ることが、後から分かった」みたいな感じで、これはそうとう切ない訳だ。
その上で、(DDにおけるキャラチェンジは)「(格ゲーで)別キャラも自由に選べるんだから、そっちを使えば大丈夫!」って言われてるみたいで、ちっとも納得できないんだよね。

この点に関しては、すべてのクラスのタワーを駆使して遊ぶバランスなら、シングルプレイ時には、どのクラスであっても(CCなしで)必要なタワーを建てられるようにすべきだったと考えている。
スパストで春麗が気孔拳を覚えたようにね!

※ちなみにDDのキャラチェンジは、半リアルタイムでの変更なので、格ゲーのそれとはちょっと違う。普段シーフだが、一時的に戦士にして壁を出す的な様相が強い。



ただ、「こうやれば、このゲームはおもしろいんじゃねえの!」って意見はすごくいいと思うので、どんどんコメントに残してくれたらうれしい。

DungeonDefenders: タワーディフェンスの皮をかぶったアクションゲーム

プレイ前、このゲームに対しては、タワーディフェンスアクションRPGのハイブリッドゲームとして、なかなか好評を博しているゲームだと思っていた。

ところがどっこい。
いざプレイしてみるとタワーディフェンスの要素は焼きそばにかけた青のりほどのもので、中身はCOOP前提ゲーだったのだ。

今日はこれについて。

 
 パラメータでは見えないが武器によって、スイング速度とリーチが変わる



■なぜタワーディフェンスとして失敗作なのか?
DDはTDとして見ると露骨な失敗作である。
細かな理由はいくつもあげられるが、ひと言でまとめるなら、「タワー構築要素は添え物に過ぎない」という点に尽きる。

これはタワー構築は基本的な定石どおりに行い、あとはアクションゲームとしてのプレイング(リアルタイムのアップグレードや修理を含む)で楽しむという作りになっているからだ。
すべてのステージで、「敵の進行を遅滞させ」「そこに攻撃を集める」というアホでも思い付く様なタワー配置がベストになってしまっている。
この為、ステージ構成に応じた、「特別な配置」なんてものに思いを巡らす楽しさは殆どない。パッと見て想像出来るような定石配置がそのままベスト配置になるからだ。

またアクションRPG要素を取り入れたことで、主に武器の育成度がゲーム展開においてかなり大きなウェイトを占めるようになっている。
例えばまったく同じクラスであっても、ヘボイ武器だと、1回の攻撃で50ダメージ程度のところで、優れた武器を装備するとこれが2000ダメージくらいにはなる。
これは誇張でもなんでもなく、実際にそうなのだ。
(※本当の実際には、2000ダメージの武器があれば、50ダメージの武器の出番はないが)

つまり、タワーディフェンスゲームにアクションRPG要素を取り入れたと思っていたゲームは、「タワーを建てれるアクションゲーム」だったのである。



■シングルプレイのまずさ
さらに悪いことにこのゲームのシングルプレイモードはかなりひどい。
ひと言で表現するなら「メイジ以外のクラスではゲームが成立しない」と言った感じになる。

これはメイジ以外のクラスには、必要な防御能力を発揮するタワーが揃っていない為である。
戦士はまだ救いようがあるが、ハンターやモンクではじめた場合は、メイジでのプレイよりもずっと苦労が絶えない展開になる。
というか、2面の時点でメイジと同レベルクリアができないバランスだ。

もちろん育成要素のあるゲームなので、同じステージを何度もプレイしてキャラや武器を育てれば、そのうちクリアできるようにはなる。
ただゲームバランスという面で見ると、クラスによってこれだけの差が出るのは「欠陥品」呼ばわりされても仕方がないと言える。

 
 キャラ育成、アイテム育成の要素は意外なほど豊富。深くはないが。



■COOPのおもしろさ
ところが3〜4名のCOOPプレイを試してみると、「タワーディフェンスではないが、アクションゲームとしてはおもしろい」というレベルになる。
これは単純に、人と遊ぶことで発生する効果ではなく、それ以上の効果を持っている。
言うなれば、ゲームシステムそのものがCOOP向きにデザインされていると言ってもいい。

まず、シングルプレイとは異なり、設置できるタワーのバリエーションが増える。
このゲームはステージ毎に設置できるタワーのトータルコストが決まっているので、タワーの数を闇雲に増やすことができない。
しかし、タワーのバリエーションが増すことで、「同じコストだがより効果的なフォーメーション」を作ることが可能になるのだ。

次に、難易度を上げてのプレイも現実的になってくる点がある。
これは前述したタワー効率のアップとは別に、プレイヤーキャラクターが増える事による直接戦力の増加も大きく関係している。
「簡単なゲームを適当に攻略する」より「ギリギリのバランスのゲームを攻略した方がおもしろい」し、同じギリギリのバランスであったとしても、「達人4人でなくては攻略できないゲームを攻略する方がおもしろい」という理屈である。

また、難易度を自ら高めてプレイする場合は、現在の戦力でクリアできない可能性も織り込み済みなので、「どうやってもクリアできない」というパターンにはまった場合でも、素直に、「キャラが育ってないからなー」と納得できるのもよい。



■シングルプレイなら駄作、COOPなら良ゲー
グラフィックは綺麗だし、こざっぱりまとまっているので流石に「劣」評価はつかないが、並作というのが本ゲームの正当な評価。

ただし、知り合いとのCOOP限定で考えるなら、良を付けてもおかしくはないといういびつなゲームだ。
これは丁度、シングルプレイで遊ぶLeft4Deadと、COOPプレイで遊ぶLeft4Deadのおもしろさの違いの関係に似ている。
※ただシングルプレイで見る場合、(驚くべき事に)Left4Deadの方がずっと優れている。

元々、COOPゲーとして設計されたゲームなのだが、購入前にそれが分かりづらいのはいただけない。
ひとりだけで遊ぶ予定ならば、他のTDゲームをプレイした方がずっといいだろう。